自律飛行型ドローンとAI(人工知能)を活用する「トンネルDX」とも呼べそうな取り組みが始まりそうだ。
建設業向けデジタルソリューションの開発を手掛けるEARTHBRAINとソフトウェア開発のクオリカは、トンネル工事などの屋内型建設現場向けに自律飛行型ドローンとAIを活用した工事進捗管理ソリューションを開発するため、協業についての検討を開始したという。
■「2023年春の商用化」を目指す
両社が協業について検討を開始した工事進捗管理ソリューションは、自律飛行型ドローンを活用してトンネル内の映像を撮影し、作業の進捗状況を自動で管理できるようにするものだという。2023年春の商用化を目指すようだ。
現在のトンネル工事では、工事管理者がトンネル内を歩いて写真を撮影しながら作業進捗に関わる多数の書類を作成するため、多くの手間がかかっている。自律飛行型ドローンとAIを活用し、こうした作業の自動化を目指す。
クオリカはすでに2021年からトンネルの工事現場などで実験を行っており、2022年度中にEARTHBRAINが提供する建設業界向けIoTプラットフォーム「ランドログプラットフォーム」を活用した実証実験も開始する予定だという。
なお使用する自律飛行型ドローンは、クオリカのパートナー企業であるSpiralの製品だ。
■非GNSS環境下でも自律飛行できる技術で
Spiralはドローンの自律飛行システムなどを開発している企業で、トンネルの中のような非GNSS(測位衛星システム)環境下に対応したシステムを開発している。しかし、GNSSのようなシステムを利用しないで、どのように自律飛行を達成するのだろうか。
Spiralは、「MarkFlexAir(MFA)」と呼ばれるシステムを活用することで解決している。MFAはマーカーを活用するシステムで、位置情報の取得などが必要ない。作業者がトンネル内にマーカーを貼り付ければ、ドローンはそのマーカーに合わせて自律飛行できる。
そのため、SpiralのドローンはトンネルDXにおいて非常に重要な役割を果たす。Spiralのドローンを使いつつ、EARTHBRAINとクオリカがトンネルDXに貢献するソリューションを商用展開できるか、引き続き注目だ。
【参考】関連記事としては「トンネルでも高精度な自車位置測位!アルプスアルパインが開発へ」も参照。