中国の新興EV(電気自動車)メーカーNIO(上海蔚来汽車)は、2025年までに世界25カ国に事業を拡大する予定であることをこのほど表明した。
中国国内はもちろんのこと、ドイツ・ミュンヘンやノルウェー・オスロ、米サンノゼになど欧米各地にも拠点を構えており、「中国版テスラ」との呼び声高いNIOの動向に注目が集まっている。日本へも進出するかについても、今後関心が高まっていきそうだ。
NIOは自動運転技術の開発にも注力しており、決して遠くない時期に車両に「自動運転レベル3」(条件付き運転自動化)の技術を搭載することも考えられそうだ。
■シンガポールで重複上場
2014年設立のNIOはEVの開発・製造を手掛け、中国の新興EV市場でトップクラスの技術力を誇っているとされる。
ADAS(先進運転支援システム)分野にもかなり力を入れていり、シリコンバレー中心部のサンノゼにある自動運転の研究開発センターなどで日夜開発を進めている。すでに市販されている車種の中には、独自開発したADAS「NIOパイロット」を搭載しているものもある。
勢いにのるNIO。2022年5月20日には、NIOの親会社である蔚来集団がシンガポール取引所に上場した。NIOはすでに米国市場と香港市場で上場しており、3カ国に重複上場したEV企業としては世界初のようだ。
上場に関する記念セレモニーで同社のウィリアム・リーCEO(最高経営責任者)は、シンガポールに自動運転とAI(人工知能)の研究開発センターを開設することを発表した。これまで東南アジアに拠点がなかったNIOだが、シンガポールの科学技術研究機関の協力を得て、次世代技術の開発を進めていく考えのようだ。
■車載AIシステム「NOMI」にも注目
NIOについて特筆すべき点はまだまだ多い。たとえば、「世界初」とされる車載AIシステム「NOMI」を各車に搭載し、リアルタイムで目的地までの最適な経路の提案などをドライバーに行う機能を展開している。
NOMIに関しては自動運転車での展開も見据え、車内の人に対し、映画やゲームなどのエンターテインメントコンテンツの提供や、ウェブ会議のシステムの提供などを行う機能も備えるようだ。
また、米インテルの子会社Mobileye(モービルアイ)の最新画像処理チップ「EyeQ4」を採用していることでも知られる。自動運転車の実現の強力なサポート役となるチップだ。
シンガポールに新たな拠点をつくり、目標とする「2025年までに世界25カ国」の実現は果たそうとするNIO。今後もNIOの動向から目が離せない。
▼NIO公式サイト
https://www.nio.com/
【参考】関連記事としては「中国のEVメーカー「NIO」を徹底解剖!独自開発の自動運転技術にも注目」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)