運転者なしの自動運転車、岸田首相「ルールを新たに定める」

施政方針演説の内容を読み解く



出典:政府インターネットテレビ

2022年1月17日に行われた岸田文雄首相の施政方針演説。岸田首相は自動運転技術には触れたのか。答えは「イエス」。デジタル田園都市国家構想に関する説明の中で、自動運転車や自動配送ロボットなどについて語っている。

■インフラ整備や新たなルール制定に意欲

岸田首相は、地方でデジタルサービスを活用できるようにすべく、5Gやデータセンター、光ファイバーなどインフラの整備計画を取りまとめることに意欲を示し、自動運転やドローン、交通管制などを実現するためのインフラも整備していくと語った。


そして「例えば、『運転者なし』の自動運転車、低速・小型の自動配送ロボットが公道を走る場合のルールや、ドローン、AIなどの活用を前提とした産業保安のルールを、新たに定めることで、安全を確保しながら、新サービス展開の道を拓きます」とも述べた。

岸田首相は「科学技術・イノベーション」についても触れた。大学の学部再編や文系理系の枠を超えた人材育成の取り組みを加速させ、官民のイノベーション人材育成を強化するという。自動運転分野でも人材の育成は肝だ。

さらに、「本年をスタートアップ創出元年とし、5か年計画を設定して、大規模なスタートアップの創出に取り組み、戦後の創業期に次ぐ、日本の『第2創業期』を実現します」と述べている。

■岸田首相のこれまでの次世代モビリティに関する発言

岸田首相に関しては首相就任後に何度か、自動運転や空飛ぶクルマなどの次世代モビリティに言及している。


2021年11月8日の「新しい資本主義実現会議」では、自動配送については新たな制度創設し、ドローンについては2022年度中に有人地帯での目視外飛行を可能にすることに意欲を示した。

2021年11月10日の第2次内閣発足後の記者会見においては、自動配送サービス実現に向け関連法案を次期通常国会に提出すると明言した。計画どおりに進めば2022年中にも法律が成立する見込みだ。2022年1月の年頭記者会見などでは、空飛ぶクルマについても言及している。

引き続き、国のトップによる次世代モビリティ関連の発言をしっかりとウオッチしていきたい。

▼第二百八回国会における岸田内閣総理大臣施政方針演説
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2022/0117shiseihoshin.html


記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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