自動運転で岸田首相「新しいルールを作り、市場を新たに作る」

年頭記者会見や新年互礼会で語ったこと



2022年の年頭記者会見に臨む岸田首相=出典:首相官邸

2022年の年頭記者会見や時事通信社の新年互礼会で、岸田文雄総理は「空飛ぶクルマ」や「自動運転」について触れた。自動運転や自動配送ロボットの実用化については「新しいルールを作ることで、市場を新たに作っていく」などと、意欲的な発言が目立った印象だ。

■空飛ぶクルマ:「デジタル田園都市国家構想を体現するモビリティー」

年頭記者会見では、首相が成長戦略の3つの柱のうちの1つとして掲げている「デジタル田園都市国家構想」の施策の一例である空飛ぶクルマの実現に向け、どのように法整備などを進めていくのか?という質問が上がった。


その回答として岸田首相は、「空飛ぶクルマというもの、これは離島や中山間地の移動ですとか、あるいは災害時における救命救急、こうしたことなど、この地域における課題を解決する上で大変重要な存在であり、『デジタル田園都市国家構想』を体現するモビリティーであり、その実装、私も大いに期待をしたいと思っています」と述べた。

その上で、2025年開催の大阪・関西万博での空飛ぶクルマの実装に向け、関係省庁や民間企業、有識者、自治体など関係者が一体になって制度整備や技術開発に取り組んでいく旨を述べた。

▼岸田内閣総理大臣年頭記者会見
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2022/0104nentou.html

■自動運転・自動配送:「新しいルールを作ることで、市場を新たに作っていく」

時事通信社の新年互礼会では、2022年にデジタルの切り口から地方発の経済社会の変革に挑戦していく考えを示した。


そして「規制改革についても、単に規制緩和を行うのではなく、自動運転や自動配送などの新しいルールを作ることで、市場を新たに作っていく。こうした工夫を進めて行きたいと考えます」と述べた。

▼時事通信社 新年互礼会
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202201/05jiji.html

■2021年における岸田首相の姿勢・発言

空飛ぶクルマや自動運転に関して、2021年における岸田首相の姿勢・発言にも触れておこう。

2021年11月8日:「新しい資本主義実現本部」による緊急提言にて

岸田首相は11月8日、第1次内閣時に設置した「新しい資本主義実現本部」による緊急提言の中で、自動配送サービスや自動運転、ドローンについて言及している。


自動配送サービスについては、サービス提供エリアや事業者の連絡先などに関する事前届出制や、安全管理義務に違反した場合の行政機関による措置、機体の安全性・信頼性向上に向けた産業界における自主基準や認証の仕組みの検討を促すことなどを前提に、関連法案を提出するとしている。

自動運転についての関連法案は、自動運転サービスの提供で申請があった地域や区間に関し、自動運転システムの性能や遠隔監視、緊急時の対応などを確認し、サービスを認めるための新たな制度を創設するとしている。

ドローンについては、機体の安全性認証制度や、操縦者の技能証明制度などの制度設計を進め、2022年度中にドローンの有人地帯での目視外飛行を可能とすると示した。

2021年11月10日:第2次内閣発足後の記者会見にて

2021年11月10日に第2次内閣が発足し内閣総理大臣に指名された後の記者会見では、自動配送サービスの実現への取り組みについて、自動配送サービス実現に向け関連法案を次期通常国会に提出すると言及した。計画どおりに進めば2022年中にも成立する見込みだ。

デジタル活用の際に障害となる規制改革にも取り組む意向を示した。

■各種法案に関する国会審議の動向に注目を

岸田首相が意欲を示す通り、2022年中に各種法案が成立すれば、日本において次世代モビリティの普及がぐんと加速するはずだ。今年の通常国会は今月開幕する。各種法案に関する審議の動向に注目していきたい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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