まず無人ドローンの飛行実証に成功!住友商事、「空飛ぶクルマ」の実現見据える

2022年度以降に日本でも実証実験



実証実験を実施した住友商事、JAL、Bellのメンバー=出典:住友商事プレスリリース

住友商事(本社:東京都千代田区/代表取締役社長:兵頭誠之)はこのほど、空飛ぶタクシーの開発を手掛ける米Bellと日本航空(JAL)と共同で、2021年10月に米テキサス州フォートワース市郊外で無人ドローンの飛行実証を実施したと発表した。

住友商事は2020年代半ばに「空飛ぶクルマ」の実現をすることを目指しており、実施した飛行実証はその目標の実現に向けたものだという。


日本でも2022年度以降に無人ドローンの飛行実証を行う予定で、住友商事の航空事業開発部の小林充明氏は「(実証実験を積み重ねていきながら)社会インフラとしてのドローン、空飛ぶクルマが活用される社会の構築を目指したい」と語っている。

■多様な気象条件下での飛行実証に成功

10月に実施した実証実験では、Bellの大型ドローン「APT(Autonomous Pod Transport)」を使い、医療物資や支援物資の輸送を想定した飛行性能の調査と、国内実証に向けた運用や操作性の確認、日本での大型ドローンの利活用に向けた事業性の検討を行なったという。

▼Bell公式サイト
https://www.textron.com/

報道発表によれば、テキサスの多様な気象条件下でも、無事に飛行実証を終えることができたという。


出典:住友商事プレスリリース
■住友商事がエアモビリティ市場に照準

エアモビリティの市場規模は2030年に90億ドル(約1兆円)規模になるという予測もある。住友商事はこうした有望市場に対し、近年アプローチを強めている印象だ。

今回の実証実験以前に、住友商事は2019年にBellとエアモビリティ分野で業務提携しており、2020年にはそのスキームにJALが加わった。

空飛ぶクルマ向けのインフラに関しては、2020年に無人機管制システムを開発する米OneSky Systemsに出資している。2021年はOneSky Systemsと東北大学の3者で、複数の機体が飛び交う想定で、リアルタイム3次元交通制御に関する実証実験に取り組み始めた。

■空飛ぶクルマ×総合商社の行方に注目

日本の総合商社で空飛ぶクルマの市場に注目しているのは、住友商事だけではない。三井物産や伊藤忠商事、丸紅などもこの領域にアプローチしている。まだ各社の取り組みは始まったばかり。頭1つ抜きん出るのはどの総合商社になるのか注目だ。


記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




関連記事