クリーニング機構をLiDAR自体に組み込み!ヴァレオの自動運転向けセンサー

レベル3実現のメルセデス「新型Sクラス」で採用



出典:ヴァレオプレスリリース

自動車部品大手である仏Valeo(ヴァレオ)は、クリーニングシステムが組み込まれているLiDARを開発している。そのLiDARが、自動運転レベル3(条件付き運転自動化)での走行が可能なメルセデスベンツの「新型Sクラス」に採用された。

ヴァレオが2021年12月15日までに発表した。搭載されるLiDARは、同社が2021年に発売した「SCALA第2世代」。クリーニングシステムを搭載したこのSCALA第2世代を搭載するのは、新型Sクラスが初になるという。


■クリーニングシステム搭載のLiDAR

ヴァレオは報道発表で、LiDARのクリーンな視野を確保するためのクリーニングシステムについて説明している。洗浄液を噴射するノズルを加熱することで氷を溶かすことができるほか、「液体のカーテン」をLiDAR全体に吹き付けて表面の洗浄を行うという。

これらの機能を実現する設備はLiDAR本体に装備されているため、LiDARを車両に設置しても外観デザインに大きな影響を与えないことも強みの1つだという。

ちなみにヴァレオは、第3世代のスキャニングLiDARを2021年11月に発表している。この第3世代のスキャニングLiDARは2024年に発売予定で、第2世代のLiDARに比べて解像度が12倍、検知範囲が3倍、視野角が2.5倍に向上するとしている。

第3世代のスキャニングLiDARについて、以下の記事で紹介しているので参考にしてほしい。


【参考】関連記事としては「解像度12倍、検知範囲3倍、視野角2.5倍!Valeoの第LiDARの実力」も参照。

■ベンチャー企業とのシェア争いにも注目

LiDARに関しては、LuminarやInnobiz Technologiesなど、LiDARの製造に特化したベンチャー企業も登場しているが、ヴァレオのような大手自動車部品メーカーはこうしたベンチャー企業より長い期間にわたって開発を行ってきた経緯がある。

世界が注目する自動運転レベル3の市販車に同社のLiDARが搭載されることになり、ヴァレオのLiDAR事業は一層勢いづきそうだ。今後のベンチャー企業とのシェア争いにも注目だ。

【参考】関連記事としては「LiDAR(ライダー)とは?自動運転向けセンサーとして活躍」も参照。


記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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