「元祖MaaS企業」が14億円超の資金調達!MaaS Global、さらに事業拡張へ

日本で協業する三井不動産などから



出典:MaaS Global公式サイト

MaaSサービス「Whim(ウィム)」を提供するフィンランドのMaaS Global(マース・グローバル)社は2021年9月24日までに、事業拡大局面における「シリーズB」において、追加の資金調達を行ったことを発表した。

追加の資金調達額は1,100万ユーロ(約14億3,000万円)で、三井不動産を含む既存の投資家と新規の投資家の両方からの資金調達となった。







■調達総額は6,500万ユーロに

今回の資金調達では、既存の投資家である三井不動産やベンチャーキャピタルのNordicNinjaなどのほか、スペインの総合建設会社Ferrovialやフィンランドの国有投資機関TESIが新たに参画した。

MaaS Global社は2019年には2,950万ユーロ(約38億円)を調達しており、これまでの調達総額は6,500万ユーロ(約84億円)に上るという。

MaaS Global社のCEO(最高経営責任者)兼創業者であるサンポ・ヒエタネン氏は「今回の拡張ラウンドでは、投資家の皆様からの多くの力強い言葉とご支援をいただけたことを大変誇りに思っている」とした上で、「今後も当社は、全世界のMaaS環境への信頼性を高め、MaaSの先駆者としての地位を強化すると共に、さらなる拡張に向けて備えることができる」と述べている。

■日本では三井不動産と実証を展開

MaaS Global社は2016年、フィンランドの首都ヘルシンキの都市交通にWhimを実装したことで知られる。さまざまな交通手段を一元化するMaaSのサービスが都市交通に実装されたのは、世界で初めてのことだった。同社が「元祖MaaS企業」などと呼ばれる由縁だ。

ユーザーがWhimのサブスク契約をすると、電車やバスなどの公共交通機関が乗り放題になったり、タクシーやカーシェアなどの交通手段を一定回数までお得に利用できたりする。すでにベルギーやイギリス、アジアの都市の現地企業とも提携し、サービスを拡大している。

日本においては2019年4月に、三井不動産とMaaS Global社が街づくりにおけるMaaS実用化に向けて協業することを発表しているほか、2020年9月からは千葉県の柏の葉周辺でWhimを使った実証実験を行った。

ちなみに日本企業としては三井不動産のほか、あいおいニッセイ同和損害保険やトヨタファイナンシャルサービスもMaaS Globalに出資している。

■今後の「さらなる拡張」に注目

元祖MaaS企業と言われるMaaS Global。今回の資金調達による「(サービスの)さらなる拡張」に注目が集まる。日本との関連性も強くなってきているため、引き続き同社の動向には関心が集まりそうだ。

▼Whim公式サイト
https://whimapp.com/

【参考】関連記事としては「MaaSとは?定義や意味は?2021年も各地で実証実験」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









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