「後付け」でトラックを自動運転化!IHIがシステム発表、省人化に貢献

車内に「制御装置」と「操作装置」を設置



出典:IHIニュースリリース

エンジン大手の株式会社IHI(本社:東京都江東区/代表取締役社長:井手博)は2021年8月6日までに、既存のトラックに自動運転ユニットを後付けすることで、工場構内において貨物を自動搬送するシステムを開発したことを発表した。

発表は、グループ会社である株式会社IHI物流産業システム(本社:東京都江東区/代表取締役社長:笠俊司)=ILM=とともに行った。製造業の工場などで人手不足が続いている中、省人化に役立つシステムとして注目を集めそうだ。


■既存トラックに後付けするシステム

報道発表によれば、既存のトラックに「制御装置」と「操作装置」を設置することで、アクセル操作やブレーキ操作、ハンドル操作を自動化することができるようになるという。ちなみに、制御装置には管制室から無線通信で指示が出されるという。

このシステムでいうところの自動運転とは、事前に設定したルートに沿って走行するという意味だ。車両の位置や速度を把握するセンサーと障害物を検知するセンサーを駆使しながら、事前に作製した3次元地図データを活用しつつ、自動走行が可能なようだ。

新たに自動運転車両を導入するのは多大なコストが見込まれるが、後付けで自動運転化が可能であれば、最小限のコストで自動運転の恩恵を享受できる。今回IHIが発表したシステムの強みの1つがこの点にある。

IHIとILMは現在、パートナー企業と共同でこのシステムの試験を実施しており、2022年度の実用化を目指すという。ちなみにこのシステムを搭載した際、万が一のときのために安全要員の同乗などが必要かどうかは、プレスリリースの中では触れられていない。


■過去には沖電気などと路車間通信の実証実験も

IHIが自動運転に関する発表するのは今回が初めてではない。これまでも取り組みを進めており、2020年3月には沖電気やあいおいニッセイ同和損害保険などと共同で、兵庫県神戸市の住宅街において、自動運転車両を用いた路車間通信の実証実験を実施した。

実証実験では、名古屋大学の自動運転システムを搭載したゴルフカート型の自動運転車両を使い、車載センサーと道路側センサーが協調した仕組みの検証を行った。IHIは実証車両の交差点での右折の支援を行ったとされている。

引き続き、IHIの自動運転関連の取り組みに注目していきたい。

▼IHI公式サイト
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記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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