トヨタWovenが買収するCARMERAの実力とは?自動運転を支えるマッピング技術に強み

TRI-AD時代から協力関係を構築、共同開発も



出典:CARMERA公式ブログ

トヨタの子会社であるウーブン・プラネット・ホールディングス株式会社(本社:東京都中央区/CEO:ジェームス・カフナー)は2021年7月19日までに、米スタートアップのCARMERA(カーメラ)を買収することを発表した。

2018年から共同開発を行うなど協力関係にあった両社だが、今回、買収という形でより強固なパートナーシップを結ぶことになった。自動運転産業を支えるマッピング技術の開発で知られるCARMERAとはどのような企業なのか、解き明かしていこう。


■2015年に設立されたスタートアップ

今回トヨタが買収することになったCARMERAは、2015年に設立されたスタートアップだ。

出典:CARMERA公式ブログ

本社を米ニューヨークとシアトルに置き、そのほか、サンフランシスコやデトロイト、英ロンドン、そして日本にも拠点を開発しながら、主に自動運転車向けのマッピング技術の開発に力を入れてきた。

■リアルタイムの道路情報解析などを可能に

CARMERAが開発するAI(人工知能)は空間認識の情報処理に長けており、高精度の地図生成やリアルタイムの道路情報解析を可能にする。例えば突然の道路封鎖や渋滞情報など、絶えず変化する世界の道路状況を把握し、常に最新データにアップデートし続ける。

このような技術は自動運転モビリティ開発に必要不可欠であり、この分野は設立当初からCARMERAの大きなビジネスターゲットでもあった。


■2018年にGoogle Venturesが2,000万ドルを出資

CARMERAのこうした先見性に対し、VC(ベンチャーキャピタル)などからの注目度も増していき、CARMERAは2018年に投資ラウンドBシリーズとしてGV(前Google Ventures)などから2,000万ドル(約22億円)の出資を受けた。

こうした資金調達を通じ、自動運転の関連技術を開発する企業の中でCARMERAの存在感は増していった。

■2018年から築いてきたトヨタとの協力関係

ウーブン・プラネットは前身のTRI-AD(トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント)時代から、CARMERAと協力関係を築いており、2018年以降、東京やデトロイトで共同プロジェクトに取り組んできた。

ウーブン・プラネットはCARMERAを買収することで、今後さらに広範囲の空間情報を共有していくこと、また北米での活動の幅が広がることに期待感を持っているようだ。両社の技術のさらなるマッシュアップにより、モビリティ開発に一層革新がもたらされることになりそうだ。


ちなみに以下が今回の買収に合わせて公開された動画だ。デトロイトで行われた実証実験の様子だという。

■アナログ的に情報を収集することも

ちなみにCARMERAに関しては、市町村などの自治体と連携を取ることで、イベントによる道路利用状況の変更など、事前に分かり得る情報も早期に共有できるようにしてきたことも特筆すべき点と言える。

こうした、センサーだけに頼らずに、ときにはアナログ的に情報を収集することも、トヨタがCARMERAに惹かれた理由の1つではないだろうか。CARMERAからはさまざまな経路で情報を収集しようという意気込みが感じられる。

CARMERAはこれまで公式サイトで公式ブログで自社の技術情報などについて積極的に発信している。英語ではあるが、興味がある人はぜひ一読してみてほしい。動画なども使いながら、技術的な強みについて説明を試みている。

▼公式サイト
https://www.carmera.com/
▼公式ブログ
https://medium.com/field-of-view

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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