半導体不足、自動運転化・EV化のスピードを鈍化させる懸念

供給不足問題は解決に向かうのか



パソコンやスマートフォン、家電、そして自動車や電車などでも欠かすことができないのが「半導体」だ。特に車は「走る半導体」とも言われるほど、多くの半導体が使用されている。


さらに今後、EV(電気自動車)や自動運転システム、ADAS(先進運転支援システム)に多くの半導体が使われることが予想されている。EVでは、大きな電流を扱える「パワー半導体」が必要不可欠だ。自動運転でもGPU(画像処理半導体)などでニーズがある。

しかしいま、自動車業界への半導体の供給が追いついていない。

■自動車メーカーが減産を余儀なくされる事態に

三井住友DSアセットマネジメントが2021年2月14日に発行したマーケットレポート「『半導体需要』拡大の中、自動車業界の今後を考える」によると、自動車業界では車載用半導体の調達が難航しており、各自動車メーカーが減産を余儀なくされているという。

半導体不足の背景には、AppleによるiPhone12などの新製品の投入や、新型コロナウイルスによる巣ごもり需要の増加で、パソコンやゲーム機などが増産されていることがある。5G携帯基地局向けでも半導体ニーズが高く、供給が追いつかない状況となっている。


こうした中、各自動車メーカーは半導体製造企業に供給拡大要請をしているが、需要に対して生産が追いついていない状況だ。

■電動化や自動運転化のスピードが鈍化しかねない課題

現在のような状況では、自動車業界における電動化や自動運転化のスピードが鈍化しかねない。

矢野経済研究所の2020年における予測によると、2030年における車載用半導体の世界市場は、2018年の310億9,000万ドルから、88.5%増の586億1,000万ドルまで拡大する。半導体需要が飛躍的に増すことが予想される中、供給不足問題が解決に向かうのか、関心が集まる。

【参考】関連記事としては「CASEの鍵は車載半導体の進化!トヨタとデンソーが新会社設立で合意 自動運転向けセンサーの部品開発も」も参照。


記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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