茨城県の「ひたち圏域新モビリティサービス推進協議会」は2020年12月15日までに、みちのりホールディングスや茨城交通などと取り組む2020年度の「ひたち圏域MaaSプロジェクト」を11月末からスタートさせたことを発表した。
このプロジェクトは、経済産業省が実施する令和2年度「スマートモビリティチャレンジ」の実証地域および国土交通省が実施する令和2年度日本版MaaS推進・支援事業の両事業に選定されている。
■2018年から取り組まれているひたち圏域MaaSプロジェクト
ひたち圏域MaaSプロジェクトは「地域版MaaS」のモデルケース構築を目指し、2018年から実施されている。
2018年度は通勤時の相乗実証や小型自動運転バスの走行実証を、2019年度はMaaSの主要サービスや機能を体験できるモデルアプリのリリースや通勤やラストワンマイルにおけるデマンドサービスの実証を行った。
3年目となる今回は、実施地域をこれまでよりも広域のひたち圏域に広げ、「地域のMaaS基盤構築」と「モビリティサービスの進化」をテーマに実証実験を行っているということだ。
具体的には、地域MaaS基盤の提供、中型自動運転バスの走行実証、アプリやウェブでの販売サービス、AI(人工知能)を活用したデマンドサービスについて実証するという。サービス提供エリアは、茨城県高萩市と日立市、東海村、ひたちなか市だという。
■自動運転バスやAI活用型のデマンド交通サービスに注目
今回の実証実験における自動運転バスの実証は、2021年3月5日にかけて実施される。車体は中型バスで全席予約制で運行し、「Hitachi MaaS」アプリからのみ予約ができる。2022年以降の本格的な商用運行を目指すという。
AIを活用したデマンド交通サービス「Myride」の実証実験も行われる。Myrideは、小型車両に複数の人が乗り合って移動ができるサービス。アプリで移動手段の検索・予約・購入ができ、AIが同じ方向に行く人とマッチングし、最適なルートを計算する。この実証は、2021年1〜3月にかけて行われる予定だ。
報道発表では今後のひたち圏域MaaSプロジェクトについて「ひたち圏域では地域版MaaSモデルの構築に向け、シームレスな連携だけでなくモビリティサービスを通してDX(Digital Transformation)の推進を目指します」としている。
ちなみに同プロジェクトにおける自動運転バスの実証実験については、事故の発生の一報が入ってきている。先進技術にはリスクもつきものではあるが、慎重かつ大胆にプロジェクトが推進されることに期待したい。
【参考】関連記事としては「自動運転バス、最新動向まとめ!2020年の実証実験は既に10件超」も参照。