トラクター世界大手クボタが米半導体大手NVIDIAと協業し、NVIDIAの「エンドツーエンドAIプラットフォーム」を活用し、農業機械の「スマート化」の取り組みを加速させる。
クボタは国内のほかの農機メーカーに先駆けて、スマート農業の本格的な研究を開始しており、農機の自動化・無人化による超省力化やデータ活用による精密農業の普及に向けた取り組みを行ってきた。
今回のNVIDIAとの取り組みは、農機の自動化・無人化による超省力化の実現を目指すものだ。NVIDIAのエッジデバイス向けの組み込みAIプラットフォーム「NVIDIA Jetson」を活用し、完全無人農機の実現に向けて研究開発を進めていくという。
NVIDIA日本代表兼米国副社長の大崎真孝氏は「NVIDIAのAIプラットフォームはクボタの次世代の農業機械の開発において最適なプラットフォーム」と強調した上で、「今後クボタは現場のニーズに合った自動化・無人化された農業機械を開発し、国内外における農業を支え、農業労働力の創出に大きく貢献することでしょう」とコメントしている。
■加速する「自動運転×農業」の取り組み
農業と自動運転技術は相性が良いと言われている。畑や水田は私有地であり、もちろん安全性は必要とされるものの、公道での走行に伴うような厳しい規制はない。こうした背景もあり、農機メーカーは積極的に農機の自動化に取り組んでいる。
例えばクボタは2020年1月に、業界初となる自動運転が可能な田植機「アグリロボ田植機NW8SA」を発売すると発表した。超音波ソナーを使って人や障害物を検知でき、安全な自動運転を可能にしている。田植え作業の省人化と作業効率向上に貢献すると、大きな話題になった。
自律走行技術を開発するベンチャー企業の参入も目立つ。2018年5年創業のレグミンは自律式農作業ロボットを使って農家を支援する取り組みを進めている。同社の取り組みは注目を浴び、2019年12月までに2億3,000万円規模の資金調達を成功させている。
大手からベンチャーまで自動運転技術を農業へ応用する取り組みを始める企業が増える中、クボタがNVIDIAと協業するという今回の発表は、事業のスピードアップの観点からうなずけるものだ。両社の取り組みに引き続き注目していきたい。
【参考】関連記事としては「無人トラクター・コンバインの開発企業まとめ 農業向け、自動運転技術など活用」も参照。