賃貸住宅大手・大東建託の賃貸未来研究所・AI-DXラボ(所長:宗健)が2020年6月から、筑波大学システム情報系社会工学域近未来計画学研究室(近未来計画学研究室)の谷口守教授と「モビリティ・イノベーションと居住環境向上に関する共同研究」を開始した。
全国で約116万戸の賃貸住宅を管理している大東建託グループ。今回の研究は、住宅の入居者に向けた自動運転車のシェアサービス展開を視野に入れたものとみられ、事業化のために必要な基礎的な研究に共同で取り組んでいくという。
具体的には、サービスの構築や事業化に必要な検討項目を洗い出した上で、「サービス提供地域の選定、収益性、地域社会・自治体に与える影響など、具体的な事項について共同研究を進めていきます」(報道発表)としている。
共同研究者については、以下の通り紹介されている。
筑波大学システム情報系社会工学域教授
谷口守 (たにぐち・まもる)氏
〜近未来計画学研究室では、コンパクトシティ・スマートコミュニティ・モビリティイノベーション(自動運転・MaaS)・交通まちづくり・交通行動分析など様々な研究に取り組んでいる。
大東建託賃貸未来研究所・AI-DXラボ所長
宗健 (そう・たけし)氏
〜賃貸未来研究所・AI-DXラボでは、住みここちランキング・AI家賃査定・空き家研究・街づくり・全国自治体別住宅市場予測など様々な研究に取り組んでいる。
■「所有から利用へ」などの流れを視野に
自動車に関して「所有から利用へ」の流れが加速する中、不動産業界も居住者の移動に着目した新たなサービス展開を模索するようになっている。今回の大東建託の発表もまさにこうした流れによるものだ。
実際に自動運転車のシェアサービスを居住者向けに展開するようになれば、ホテルやオフィスビルの玄関前スペースにあるような「待機場」空間の重要度が増し、建物設計も徐々に変わっていくことが考えられる。
こうしたことを考えると、不動産会社が早期に自動運転領域に着目し、将来に向けた研究をいち早くスタートさせることに意義があることが分かる。
大東建託は自動運転社会を見据えた企業横断型組織「MONETコンソーシアム」にも参画しており、自動運転車のシェアサービス開発を含め他社と協力してどのような取り組みを進めていくのか、注目だ。
【参考】関連記事としては「自動運転普及で「WeWork型」一等地不動産ビジネスは崩壊する」も参照。