令和2年度(2020年度)の予算案編成に向けた各省庁の概算要求の提出が締め切られた。自動運転ラボとしては、「自動運転」や「MaaS」など、モビリティ関連プロジェクトに関する各省庁の予算が気になるところだ。
この記事では国土交通省と経済産業省、内閣府のモビリティ関連予算の概要について解説していこう。
記事の目次
■国土交通省:日本版MaaSの推進などに316億円計上
国土交通省は「豊かで暮らしやすい地域づくり」の一環として、「道路ネットワークによる地域・拠点の連携」に3299億円の予算を割いている。そしてこの予算の中で、自動運転に対応した道路空間の基準などの整備や自治体における社会実装の取り組みを支援するとしている。
またMaaS関連では316億円を計上した「利便性が高く持続可能な地域公共交通ネットワークの実現」の中で予算を割いており、日本版MaaSなどの次世代モビリティの推進により、地方や観光地における移動の利便性を高めることとしている。
【参考】国土交通省の概算要求の詳細は「国土交通省:令和2年度国土交通省予算概算要求概要」から確認できる。この中でモビリティ関連は「IV.豊かで暮らしやすい地域づくり」の中で主に触れられている。
■経済産業省:自動運転やMaaSの実装へ65億円計上
経済産業省も自動運転やMaaSなどのモビリティ関連の予算を概算要求で計上している。具体的には「豊かな移動の実現」を目指す予算として、「高度な自動走行・MaaSの社会実装に向けた研究開発・実証事業費」を65億円計上している。
この65億円の範囲内で、自動運転バスや自動運転タクシーなどの移動サービスの事業化を支援・推進するため、安全性評価手法について研究するほか、環境整備や社会受容性(アクセプタンス)の向上についての検証などに取り組むという。
ちなみに「高度な自動走行・MaaSの社会実装に向けた研究開発・実証事業費」に関しては令和元年度(2019年度)も予算がついており、令和元年度の当初予算額は42億円だった。この額と2020年度は概算要求における予算額を比較すると、約1.5倍となっている。
【参考】経済産業省の概算要求の詳細は「経済産業省:令和2年度経済産業政策の重点、概算要求・税制改正要望について」から確認できる。この中でモビリティ関連については「令和2年度 産業技術関係概算要求の概要」の中で主に触れられている。
■内閣府:「自動運転」部門含むSIPなどに624億計上
内閣府は、自動運転部門も有する「戦略的イノベーション創造プログラム」(SIP)を継続するための予算などとして、624億3400万円を計上している。
また「スーパーシティ」構想を推進するために、新たに優先課題推進枠として7億円を計上したことにも注目したい。このスーパーシティはAI(人工知能)やビッグデータなどを活用した次世代の都市を目指すもので、自動運転の実用化を特区的に導入することも検討されている。
【参考】内閣府の概算要求の詳細は「内閣府:令和2年度内閣府重点施策について」「内閣府:令和2年度予算概算要求の概要」から確認できる。
■【まとめ】準天頂衛星システム関連予算にも注目を
自動運転やモビリティ関連のプロジェクトは省庁を横断して多岐にわたるが、国土交通省と経済産業省、内閣府が主に主導している。この記事で紹介した以外にも「準天頂衛星システム」向けの予算も、測位技術の向上に向けた取り組みやデータ活用という観点から、大いに注目したいところだ。
【参考】関連記事としては「「自動運転×日本国の動き」の最新動向は? 政策やプロジェクトまとめ」も参照。
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— 自動運転ラボ (@jidountenlab) December 11, 2018