浜松市、「やらまいか」の精神で自動運転、MaaS、マイクロモビリティ…

MONET Technologiesとも連携協定



出典:浜松市プレスリリース

静岡県浜松市(市長:鈴木康友)が、次世代モビリティに関する取り組みに積極的だ。少子高齢社会における公共交通の維持が課題となる中、浜松市は2019年10月に「デジタルファースト宣言」を行い、先端技術を活用した都市づくりにおいて次世代モビリティやサービスを意欲的に導入しようとしている。

これまでの浜松市の次世代モビリティに関する取り組みをまとめて紹介していこう。


■浜松自動運転やらまいかプロジェクト

浜松市は、ソフトバンク子会社の自動運転開発企業SBドライブやスズキ、遠州鉄道と自動運転に関する連携協定を締結している。「浜松自動運転やらまいかプロジェクト」と題したこの事業では、自動運転技術を活用したスマートモビリティサービスの事業化に取り組み、交通課題の解決や地域や産業の発展に貢献していくことを目指している。

既に、スマートフォンを使ってクルマの予約や運行管理システムの検証などを行う実証実験を2017年12月と2019年12月に行っている。ちなみに「やらまいか」は浜松地域などの方言で、「やってやろう」「やろうじゃないか」といった意味だ。

■Luupとの連携協定

2019年4月、浜松市は電動マイクロモビリティのシェアリングサービス株式会社Luup(本社:東京都渋谷区/代表取締役社長:岡井大輝)と連携協定を締結した。手軽に利用できる電動マイクロモビリティが市民の移動手段となることを期待してのことだという。同年7月には浜松市の農業公園「はままつ フルーツパーク時之栖」にて実証実験も行った。


■はままつスマぐるウィーク

浜松市は海と山に囲まれた自然豊かな土地で、さまざまな人気グルメもある。こうした浜松グルメの魅力を発信するため、「はままつスマぐるウィーク」が2020年2月に7日間にわたって開催された。このイベントには飲食店30店舗以上が参加し、MaaSアプリ「EMot(エモット)」が活用された。

EMotは小田急電鉄が開発しているMaaSアプリで、鉄道やバス、タクシー、シェアサイクルなどを組み合わせた経路検索ができることが特徴だ。期間中はEMotで、対象エリア内でのモビリティの乗り降りが自由もしくは優待が受けられる企画チケットや飲食チケットを販売された。

■MONET Technologiesとの連携協定

浜松市は2020年3月には、MONET technologies株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長:宮川潤一)と、次世代モビリティサービスによる持続可能な都市づくりに関する連携協定を締結した。医療や福祉とモビリティの連携や、モビリティ分野での先端技術やデータの活用の最適化に取り組むという。

■【まとめ】浜松市の取り組みが他の自治体に波及も?

浜松市は都市部と中山間地域の両方を有し、特に中山間地域では人手不足や高齢化に伴い、公共交通での移動手段を持続的に確保することが課題となっている。


そんな中で浜松市は、自動運転技術やMaaS、シェアリングの仕組みなどを活用しながら、官民一体となって今後も交通改革に取り組んでいくものとみられる。

次世代モビリティの導入に積極的な自治体は全国的に増えてはいるが、まだ決してそうした自治体がマジョリティとは言えない。そんな中で浜松市の取り組みが注目を集めていけば、ほかの自治体にも取り組みが波及していきそうだ。

【参考】関連記事としては「自動運転実証の誘致に意欲的な自治体10選」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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