アイシン精機株式会社(本社:愛知県刈谷市/代表取締役社長:伊勢清貴)は2020年3月9日までに、2015年に初代モデルを発表してから開発を続けてきたパーソナルモビリティ「ILY-Ai(アイリーエーアイ)」を事業化すると発表した。
報道発表によれば、ILY-Aiは「商業施設特化型パーソナルモビリティ」という位置付けだという。例えば大型ショッピングスーパーでユーザー本人が乗って利用したり、追従する買い物カートとして利用したり、子供だけを乗せたりと、さまざまな用途で活躍することを想定して設計されている。
ILY-Ai事業の第1弾として、岐阜県岐阜市内のショッピングセンター「カラフルタウン岐阜」へ有償でのリース提供を行うことが発表されている。同センターを訪れた買い物客は無料でILY-Aiをレンタルできるようで、多くの人にとって注目の存在となりそうだ。
カラフルタウン岐阜では、これまでにILY-Aiを来店客に貸し出す実証実験を行ってきた経緯があり、アイシン精機は利用者の要望などを取り入れてILY-Aiの利便性や安全性を高めてきた。
ちなみにILY-Aiは日本デザイン振興会が主催する「2019年度グッドデザイン賞」を受賞している。子供連れの若者でも乗りたくなるようなデザインや、「立ち乗り」「座り乗り」「カート」という3つのモードをスマートに実現していることなどが評価された。
■パーソナルモビリティ開発が盛んに
日本をはじめ世界でパーソナルモビリティの開発が盛んになりつつある。パーソナルモビリティは公共交通機関から自宅や目的地までの「ラストワンマイル」を結ぶ移動手段としても活躍すると考えられており、MaaSサービスの普及も現実味を帯び始める中、今後市場が拡大しそうな領域だ。
そもそもパーソナルモビリティとは、1~2人乗りの小型電動コンセプトカーなど含む次世代モビリティのことで、有名な製品だと「セグウェイ」もパーソナルモビリティの一つに数えられる。
日本企業も開発に積極的で、「車両型」のパーソナルモビリティとしてはトヨタの1人乗り電動自動車「i-ROAD」も有名だ。自動運転機能を搭載した電動車椅子を開発しているスタートアップ企業WHILLも注目を集めている。
最近では、電動キックボードもパーソナルモビリティとして欧米などで普及しつつある。日本でも電動キックボードで公道を走行できるようにする規制緩和の動きもあり、今後、普及に向けた環境が整っていく可能性がある。
■ILY-Ai、全国のさまざまな商業施設に導入へ
このようなパーソナルモビリティ市場も熱を帯びる中、今後、アイシン精機のILY-Aiがどれだけ注目を集めていくのか、注目していきたい。アイシン精機は「今回のカラフルタウン岐阜での事業開始を皮切りに、全国の様々な商業施設への導入に向けて取り組みを進めていきます」としている。
【参考】関連記事としては「トヨタ系アイシン精機、スギ薬局とライドシェアサービス「チョイソコ」開始へ」も参照。