米コンサルティング大手のアクセンチュアが2020年1月22日までに発表した最新調査の結果によると、将来的に多くのドライバーが自動車の所有をやめる代わりに、自動運転バスや自動運転タクシーなどの利用を検討していることが明らかになった。まさに「所有から利用へ」の流れだ。
この調査は「Mobility Services: The Customer Perspective(モビリティ・サービス:顧客の視点)」というタイトルのもので、米国・欧州・中国の消費者7000人(約85%が自動車を所有)を対象にオンライン上で実施した。日本は調査対象に含まれていない。
■高級車オーナーの約61%が「所有をやめるだろう」
調査結果によると、将来的にカーシェアや自動運転タクシーなどの普及が加速し、モビリティ・サービス関連の収益は2030年までに約1兆2000億ユーロ(約147兆円)に達する見込みだという。
特筆すべきこととしては、自動車オーナーの約96%が「今後も自動車を所有するだろう」と回答した一方で、仮に自動走行ソリューションが利用可能になった場合、約半数の48%が「自動車を手放すことを検討する」と回答していることだ。
消費者層としては、高級車オーナーの約61%が「自動車の所有をやめるだろう」と回答し、大衆車オーナーの43%よりも高い割合となった。また高級車オーナーで「自動車の所有をやめるだろう」と回答したのは、中国で78%、欧州で55%、米国で39%だった。国や地域で差がある結果となった。
アクセンチュアのシニアマネジング・ディレクターであるアクセル・シュミット氏は「自動車の所有からMaaSへの移行は、もはや避けては通れません」とした上で、「これにより従来型の自動車メーカーは、成熟したサービスを確立する新興のモビリティ・サービス事業者に顧客を奪われる多大なリスクにさらされることになる」とコメントしている。
■自動運転車向けの付加価値サービスに高い関心
また調査では、多くの消費者が自動運転車向けの付加価値サービスに高い関心を寄せていることも明らかになった。音楽や動画のストリーミング再生、食品、ホテルサービスなどに対し、回答者全体の89%が関心を示している。また中国で関心の高さが目立った。
マネジング・ディレクターのユルゲン・リアーズ氏は「将来の自動運転が提供する付加価値サービスに対して消費者の関心は非常に高く、多大な収益機会が存在することは明らか」と分析。その上で「自動車メーカーが競争から一歩先んじるためには、こうしたサービスの試験導入や改善に着手し、自動運転の実用化に備えておく必要がある」としている。
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