デジタルサイネージ広告市場の64.1%は「交通」で、その規模は480億円——。こんな調査結果が発表された。今後は最近盛り上がるタクシー後部座席ディスプレイと自動運転車内向けで、さらに交通領域での市場が拡大しそうだ。
■デジタルサイネージ広告市場規模、2021年に1000億円規模に
この調査結果は、ネット広告大手の株式会社サイバー・コミュニケーションズ(本社:東京都中央区/代表取締役社長:新澤明男)と調査会社の株式会社デジタルインファクト(本社:/代表取締役社長:野下智之)が共同で発表したもの。
デジタルサイネージ広告市場の規模を「交通」「商業施設・店舗」「屋外」「その他」の4つの項目に分類して調べた。ちなみに「デジタルサイネージ」とは、公共空間を含むさまざまな場所で電子機器を使って情報を発信するメディアのことを指す。
調査結果によると、2019年のデジタルサイネージ広告市場規模は749億円と見込まれ、このうち「交通」が480億円で全体の64.1%を占める。それに続く「商業施設・店舗」は98億円で全体の13.1%、「屋外」は87億円で全体の11.6%、「その他」が84億円で全体の11.2%だ。
デジタルサイネージ広告市場規模は今後も年々増えることが予想され、2021年には1000億円規模、2023年に2019年見込みの1.7倍となる1248億円になると推測されている。「交通」の市場規模も2023年には2019年見込みの1.5倍となる757億円になると推測され、「交通」だけで2019年全体の市場規模を越す見通しだ。
■今後はタクシー&自動運転車が市場の拡大を牽引
タクシー業界では後部座席向けデジタルサイネージへの参入が活発だ。タクシー配車サービス大手5社のうち、Uber(ウーバー)を除く4社がタブレット端末を活用した広告事業に乗り出している。
今後は差別化を図るため、さまざまな広告メニューやオプションなどが登場してくる可能性が高い。広告以外のコンテンツの充実度も重要となってくるだろう。
また完全自動運転車が将来普及すればドライバーは運転のために前を向いている必要はなくなり、車内で自由に視線を動かせるようになる。そのため自動運転車内のデジタルサイネージは有望だと推測されている。
日本人は1日平均1.6時間ほどクルマを運転し、1年に換算すると584時間にも及ぶ。この「584時間」が自動運転時代は「自由時間」になるわけだ。広告業界がすでにこのことに注目していることもうなずける。
アメリカ国内の自動運転車やコネクテッドカー向けの広告市場は2030年に50兆円にのぼると言われ、日本でも大きな市場規模になると予測できる。
■【まとめ】拡大するデジタルサイネージ市場
デジタルサイネージ広告市場は順調にその規模を拡大し、さらに大きな規模となるはずだ。タクシー車内のデジタルサイネージ広告は競争がさらに激化し、自動運転車内のデジタルサイネージ広告が当たり前の時代もいずれ到来する。
【参考】関連記事としては「注目の新広告枠…タクシー内テレビの仁義なきシェア戦い」「自動運転車、広告業界が狙うのは運転手が自由になる「584時間」 電通は配信プラットフォーム開発」も参照。