「空飛ぶクルマ」の開発を手掛ける株式会社SkyDrive(本社:東京都新宿区/代表取締役社長:福澤知浩)は2019年12月17日までに、30キロ以上の重量物が運搬可能な「カーゴドローン」の実証実験と予約販売を開始すると発表した。
このカーゴドローンはSkyDrive社のエンジニアが航空機開発のプロセスで培ったノウハウを元に、斜面や山間部、高架などでも重い資材を運搬できるよう開発されたものだ。主に電力や土木・建設、農業の現場での利用を目指しているという。
このカーゴドローンに関するYouTube動画では、20キロの一斗缶を積載したドローンがスムーズに上昇し、運搬する様子などを映し出している。
SkyDrive社はこのカーゴドローンを使用することにより、危険作業の回避や人員削減、時間短縮などができるようになると述べている。カーゴドローンの予約販売開始と同時に、大手総合建設会社の大林組をはじめとした数社と連携し、実証実験も開始するようだ。
■輸送用ドローンの開発に奮闘中の企業は?
国内外を問わず、大型ドローンの開発に取り組んでいる企業は多く存在する。国内では積載重量30キロのドローンを2018年に発表したプロドローンや、積載重量1トンの運搬を可能にすることを目指す東京電力パワーグリッドなどだ。
ヤマトホールディングスの取り組みにも注目だ。米テキサス州で2019年8月、ヘリコプター製造大手の米ベル・ヘリコプターと共同で「空飛ぶトラック」の機能実証を成功させており、「空の輸送」の実用化に向けて開発を進めている。
■「重さ」が壁?国土交通省の基準にも注目を
ただ輸送向けのドローンにはある障壁がある。それが「重さ」だ。
国土交通省による「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」によれば、最大離陸重量25キロ未満かそれ以上で、無人航空機に対する飛行の基準が大きく変わる。無人航空機が最大離陸重量25キロ以上であると「機体について、航空機に相当する耐空性能を有すること」など、多くの追加基準の適合が求められるようだ。
重い荷物を長距離で運べる大型ドローンは、産業用だけでなく災害時にも役立つことが予想される。災害の多い山間地帯や孤立地域など、さまざまな場面で活躍が期待される大型ドローン。各社の開発の進捗が楽しみだ。
【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマとは? 仕組みや技術、必要なインフラなど|自動運転ラボ」も参照。