湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南アイパーク)と横浜国立大学は2019年12月4日までに、ヘルスケアとモビリティを結び付けた「ヘルスケアMaaS」に関する研究拠点を湘南アイパークに開設すると発表した。
ヘルスケアMaaSに関する詳しい取り組み内容については明らかにされていないが、MaaS領域ではさまざまな交通手段とサービスを一元的に活用できるプラットフォーム作りが進んでおり、こうした仕組みの中に医療や介護、健康などのサービスを含ませていくことなどが考えられる。
湘南アイパークは武田薬品製薬が既存研究所を活用する形で設立した産官学連携施設で、施設をヘルスケア領域などに取り組むスタートアップ企業や研究機関などに開放している。今後、湘南アイパークと横浜国立大学はヘルスケアMaaSに関する研究で連携することを目的に、覚書を締結する予定だという。
今回の連携について、湘南アイパークの藤本利夫ジェネラルマネジャーは「ヘルスケアMaaSを通じて、湘南アイパークのオープンイノベーションが、ヘルスケア分野の新たなビジネスやスタートアップ、プロジェクトの創出に貢献できることを喜ばしく思います」と述べている。
■MONETとフィリップスも「医療×MaaS」の取り組み
日本国内では他にもこういった領域とMaaSを結びつけた取り組みが進んでいる。
例えば、ソフトバンクとトヨタなどが出資するMONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)は医療機器大手のフィリップス・ジャパンとともに、「医療×MaaS」に取り組んでいる。2019年11月には「ヘルスケアモビリティ」が完成したことを明らかにした。
このヘルスケアモビリティは、患者が病院に来るのではなく、病院側が患者の自宅を訪れるという発想で開発された車両だ。医療機器などを車内に搭載して遠隔地からのオンライン診療などを可能にし、12月12日から長野県伊那市でこの車両を使った実証実験を実施する。
■【まとめ】非常に価値あるマッシュアップ
医療サービスやヘルスケアサービスとMaaSの組み合わせは、非常に価値あるマッシュアップだ。例えば、街中を走りまわる移動ヘルスケア車両をいつでも簡単に予約できれば、高齢者が多いものの公共交通機関が脆弱な地域における課題の緩和に役立つ。
湘南アイパークと横浜国立大学、そしてMONET Technologiesとフィリップス・ジャパンのような取り組みは、地方自治体側にとっても歓迎すべきトピックスであると言えそうだ。
【参考】関連記事としては「地方のヘルスケア課題、「医療×MaaS」で解消!MONETとフィリップスが専用モビリティ」も参照。