テスラ 自動運転ロボタクシーで「お眠り」機能がついに実装

日本も無人タクシーで寝られる?



PARIS, FRANCE – June 16, 2023: Elon Musk, founder, CEO, and chief engineer of SpaceX, CEO of Tesla, CTO and chairman of Twitter, Co-founder of Neuralink and OpenAI, at VIVA Technology (Vivatech)

米EV大手テスラ(Tesla)の自動運転「ロボタクシー」で、乗客が画面を暗くして休める新機能が確認された。専用車両のCybercab(サイバーキャブ)で先行して見つかり、米国時間10月29日には、テキサス州ダラスとみられる夜の街を走るモデルY(Model Y)でも動作が確認された。

地図画面の右下にある月のアイコンをタップすると、地図や再生画面、アプリのショートカットなどが消え、到着予定と目的地だけが残る。停車や温度、音量、サポートの操作は使えるままだ。テスラは公式X(旧Twitter)で、この機能をCalm Mode(穏やかモード)として告知した。


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■テスラの自動運転ロボタクシーに「お眠り」機能、Calm Modeとは

Calm Modeは、乗車中の車内画面を静かな状態に切り替える機能だ。操作は単純で、地図画面の右下にある月のアイコンをタップする。すると地図や再生画面、アプリのショートカットなどが消え、暗い画面にArriving soon(まもなく到着)の文字と目的地だけが残る。画面のどこかをタップすれば、地図の表示に戻る。

乗客が休んでいても、必要な操作は使える。停車を求めるPull Over(停車)、車内の温度、音量、サポートの各操作は、暗くなった画面でも表示されたままだ。休む乗客が、必要なときに車を止めたり連絡したりできる設計になっている。

名称には注意が必要だ。画面上の表示は「quiet mode(静かなモード)」で、テスラが公式に告知した名称は「Calm Mode」になる。公式の説明は、画面を暗くし、車内の照明を落ち着いた雰囲気にするというもので、眠ることには触れていない。一方、報道では画面を黒く落とす機能と伝えられ、休息や睡眠に使える点が注目されている。見出しの「お眠り機能」は、こうした報道と利用者の見方に沿った表現である。

【自動運転ラボの視点】
無人タクシーでは、乗客は運転から解放される。その時間を休息に使えるかは、車への信頼がどこまで育ったかの目安になる。画面を暗くする小さな機能は、ロボタクシーが移動手段から過ごす空間へ変わる流れを映している。

【参考】関連記事としては「テスラの自動運転機能(FSD)とロボタクシーを徹底解説」も参照。


■Cybercabから先行、ダラスのモデルYにも広がる

最初に確認されたのは、ハンドルもペダルもない2人乗りの専用車両Cybercabだ。米国時間10月23日の金曜朝、テキサス州オースティンの利用者Jackson Blatz氏が、quiet modeの選択肢がある新しい画面の動画を投稿した。翌24日には、テスラ関連の情報発信で知られるSawyer Merritt氏がX(旧Twitter)で言及し、乗客が休息や睡眠のために、あるいは夜に明るい画面を避けるために、画面全体を暗くできるらしいと伝えた。この時点でテスラは、更新内容を説明するリリースノートを出していなかった。

続いて米国時間10月29日の木曜、ロボタクシーの利用者Spencer氏が、既存のモデルYでもCalm Modeが使えることを示す動画をXに投稿した。「新しいquiet modeがRobotaxiに登場」という趣旨の投稿で、映っていたのはダラスとみられる夜の乗車だ。テスラのロボタクシー公式アカウントも、同じ更新の告知でCalm Modeを紹介した。

テスラは2026年4月18日、ダラスとヒューストンでモデルYによる乗車サービスを始めた。公式の発表動画では、前席に運転手もセーフティモニターもいないモデルYが走っていた。両都市では、新規利用者の初回乗車が0ドルになる案内もアプリに表示された。

Cybercabはオースティンで9月3日に静かに運行を始め、翌4日の午後5時から、招待制の利用者向けに一般乗車が始まった。第3四半期の決算説明会では、ダラスでのCybercab乗車を翌月に始める計画が示されたと報じられている。


■「眠って目的地で目覚める」構想、マスク氏は10年以上語ってきた

今回の機能は、テスラCEOのイーロン・マスク氏が語り続けてきた構想と重なる。マスク氏の主な発言は次の通りだ。

  • 2014年10月:ブルームバーグTVで、5〜6年後には車に乗って眠り、目的地で目覚められる真の自動運転が実現できるだろうと発言
  • 2024年10月:ロボタクシーを公開したイベント「We, Robot」で、運転者が監視する自動運転から監視のいらない自動運転へ移れば、眠って目的地で目覚められるようになると発言
  • 2025年4月:決算説明会で、車の中で眠って目的地で目覚められることが最終テストだと述べ、同年末までに米国の多くの都市で実現すると予想

2014年の発言から数えれば、5〜6年後とされた時期はとうに過ぎている。

オーナーからの要望もあった。2019年12月、あるテスラオーナーが、空調を動かしたまま眠れ、アラームで起こしてくれるNap Mode(仮眠モード)を提案し、マスク氏は「OK」と返した。画面を暗くする今回の機能は、こうした要望に近い内容となっている。

ただし、今回の話は運転席に人がいない無人のロボタクシーに限られる。運転者が監視する個人所有車の運転支援機能は、今も運転者が免許を持ち、酒に酔っていないなど運転できる状態であることが前提になる。

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■テスラの自動運転ロボタクシー、運行時間を午前2時まで延長

Calm Modeと同じ更新で、テスラの公式告知では運行時間が午前6時から午前2時までになった。これまでの運行は午前0時までで、テスラは10月に入り、終了時刻を午後11時、午前0時と相次いで延ばしていた。更新にはほかにも、乗車中にリアカメラの映像を見られる機能と、乗車情報を友人と共有する機能が含まれる。モデルYには、Cybercabに先に入っていた対話AIのGrok(グロック)も加わった。リアウィンドウのないCybercabでは、リアカメラの映像が後方を確認する手段にもなる。

夜遅くまで乗る人にとって、画面を暗くして休める機能と、深夜まで延びた運行は相性が良い。夜間の利用を意識した更新とみられるが、テスラはその狙いを説明していない。

ヒューストン警察官組合は米国時間10月27日、Xで「飲酒運転に言い訳はない」と投稿した。テスラがヒューストンでロボタクシーの提供を広げ、夜の外出後に安全に帰る選択肢が増えたと呼びかけた内容だ。尚、テスラは年末までに24時間運行を計画しているとも伝えられている。

【参考】関連記事としては「テスラのロボタクシー「24時間営業」へ」も参照。

■日本の無人タクシー、乗客は車内で寝てもよいのか

日本でも、自動運転レベル4による無人タクシーの実用化に向けた動きが進んでいる。2023年4月1日に施行された改正道路交通法では、運転者がいない状態での運行が「特定自動運行」と定められ、都道府県公安委員会の許可制になった。許可を受けた事業者は特定自動運行実施者として、遠隔監視を行う特定自動運行主任者を置く義務を負う。

東京では、タクシーアプリのGO、米Google系の自動運転開発企業ウェイモ(Waymo)、日本交通の3社が、2027年中に国内初となるレベル4の完全無人タクシーの商用運行を目指すと発表した。当初は100台規模で、国や自治体の許認可と安全性の検証が必要になる。

では、日本の無人タクシーで乗客は寝てもよいのか。乗客が車内でどう過ごすべきかを個別に定めた規定は、今回確認した範囲では見つかっていない。特定自動運行は、運転者がいない状態での運行として、従来の運転の定義には当たらない位置づけだとされる。乗客が運転を担うわけではない。

一方で、課題も考えられる。画面を暗くして休む乗客が増えたとき、急病や緊急時の停車、車外への避難の案内をどう伝えるか。無人タクシーの設計や案内をどうするかは、日本でも議論になり得る。

テスラの自動運転ロボタクシーに搭載されたCalm Modeは、乗客が画面を暗くして休める機能だ。テスラは眠るための機能とは説明しておらず、サービスエリアも各都市の一部に限られる。日本でも無人タクシーの商用運行に向けた準備が進む中、乗客が車内でどう過ごせるかを含め、今後の動向に注目したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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