テスラ ついに個人の車がロボタクシーに 2027年4〜6月期に開始へ

対象は一部の車両だけ?



米EV大手テスラ(Tesla)が、個人所有の車を自動運転ロボタクシーとして走らせる時期を2027年4〜6月期ごろと示した。2026年10月21日(米国時間)の決算説明会で、AIソフトウェア担当副社長のアショク・エルスワミ氏が明らかにした。対象は条件を満たした一部の顧客車両から始まる見通しだ。


同じ説明会では、運転支援機能FSDの有効な契約が174万件に達し、北米の新車の75%超でFSDが選ばれたことも報告された。EU全域でのFSD承認についても、同社のイーロン・マスク最高経営責任者は2027年1〜3月期より遅れれば意外だとの見方を示した。日本への導入時期にも関わる動きだ。

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■個人の車を自動運転ロボタクシーに 対象は一部の顧客車両から

エルスワミ氏は決算説明会で、2027年4〜6月期ごろに最初の顧客車両をロボタクシーの車両群(フリート)に加えられるとの見方を示した。断定ではなく見込みとして語られており、時期にはなお幅がある。

対象は全オーナーへの一斉解禁ではない。走行エリアの制限とフリート管理の要件を満たした一部の車両が先行する。前提となるのは、運転支援機能FSDのうち、運転者の監視を前提としない無人運行向けの版が顧客車両に届くことで、テスラはFSDの新バージョンV15でこれを配信する考えだ。

ここで言う個人の車とは、既存のテスラ車を指す。ハンドルのない2人乗りのロボタクシー専用車Cybercab(サイバーキャブ)ではない。Cybercabは個人には販売されておらず、マスク氏はその大半がテスラ所有の運行サービス向けになるとの考えを示している。


【自動運転ラボの視点】
2027年4〜6月期は、ロボタクシーの担い手が企業だけでなく個人オーナーにも広がる入り口になる。ただし対象は一部の車両で、規制と安全性の検証が前提だ。日本の自動運転タクシー市場の競争にも影響し得る。

【参考】関連記事としては「イーロンマスク テスラをAirbnb化 車が稼ぐ時代に突入か」も参照。

■FSD契約は174万件 北米新車の75%超が選択

決算では本業の苦戦が目立った。売上は約280億ドルで前年同期とほぼ横ばい。純利益は7億8700万ドルで43%減、営業利益は7億1800万ドルで56%減だった。AIやロボット関連を中心とする支出の増加が利益を押し下げた。

一方でFSDは伸びた。有効な契約は174万件で前年比67%増となり、この数字には買い切りも含まれる。北米では新車の納車時にFSDを選んだ割合が75%超に達し、前四半期から約20ポイント上昇した。テスラは決算資料で、FSDが使える市場では需要を押し上げているとの認識を示している。

FSDを使う車が多いほど、将来の無人運行の対象も広がる。契約数の伸びは、個人の車をロボタクシーとして走らせる構想の追い風となる。


【参考】関連記事としては「テスラ自動運転ソフトで荒稼ぎ 2年ぶり最高益率でQ1好決算」も参照。

■Cybercabはオースティンで走り出した 自動運転ロボタクシーの台数が急増

Cybercabは9月3日、米テキサス州オースティンのロボタクシーのフリートに加わった。無人走行の累計は約200万マイルに達し、第3四半期だけで8倍に伸びた。

最高財務責任者のヴァイブハブ・タネジャ氏は、この急速な伸びを背景に、ロボタクシーが2027年に収益の大きな柱になると説明した。マスク氏は、業績への目立った寄与が出るのは2027年4〜6月期ごろ、大きな事業になるのは同年7〜12月期との見通しを示した。

オースティンのCybercabの台数は、運行開始から約1か月で10倍に増えた。CNBCによると、テキサス州当局が無人運行を認めた車両はCybercabが449台、Model Yが362台に上る。ダラスでは11月にCybercabの運行を始める。車両エンジニアリング担当副社長のラーズ・モラビー氏は、年内にCybercabを顧客へ届けたいと述べた。ただし初期の納車は少量にとどまり、現時点で生産された車両はすべて自社のロボタクシーのフリートに回っている。

世界のロボタクシー市場でテスラはなお追う立場だ。市場調査会社GACO Autoの2026年予測では、テスラのシェアは6.29%で5位にとどまる。首位は米Google系の自動運転開発企業ウェイモ(Waymo)で、22.01%とされる。

■EU全域承認は2027年1〜3月期までか 日本での導入の行方

欧州では、クロアチア、スロベニア、チェコ、スロバキアが新たに加わり、運転者の監視が必要なFSDの承認国が9か国になった。利用者は10万人を超え、累計の走行距離は1億6000万キロ以上に達している。

EU全域での承認について、マスク氏は数か月以内を期待し、2027年1〜3月期より遅れれば意外だとの見方を示した。ただし時期はテスラが決められるものではなく、当局次第との立場も示した。EU全域承認に向けた採決は12月に予定されている。

日本では、日本特有の道路交通法への対応が課題とされている。これまでの主な動きは以下の通り。

  • 2025年8月:日本の公道でFSDのテストを開始
  • 2026年3月:日本法人テスラジャパン(Tesla Japan)の橋本理智社長が、2026年末までの実装を目指すと表明
  • 2026年8月時点:FSDは未実装で、実装済みなのは運転支援機能Autopilotにとどまる(自動運転ラボ調べ)

EUの承認がそのまま日本の判断になるわけではない。日本のテストは国土交通省などとの調整のうえで進められており、年内実装の目標が動くかどうかは、日本での審査の進み方次第だ。

テスラは第3四半期、日本でも納車台数が過去最高になったと発表した。報道によれば、日本を走るテスラは約4万台とされ、規制が認められれば多くの車がハードの改修なしでFSDを受けられる可能性があるという。ただし日本で想定されているのは、自動運転レベル2に相当する運転者の常時監視が必要なFSDだ。個人の車を無人のロボタクシーとして走らせる段階とは異なる。

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■個人の車のロボタクシー化は2027年4〜6月期から 時期にはなお幅

テスラは2027年4〜6月期ごろから、自動運転ロボタクシーの運行を自社のフリートから個人オーナーの車へ広げる計画だ。ただし開始は一部の車両に限られ、時期も見込みの域を出ない。

無人走行距離は四半期で8倍に増え、FSDの契約は174万件に達した。本業の利益が細るなか、テスラはロボタクシーを次の収益源に据えようとしている。

日本では、年内実装を掲げたFSDの行方やEU全域承認の時期が注目される。ただし日本で最初に導入されるのは監視付きの運転支援で、個人の車がロボタクシーになるのはその先となる。今後の動向に注目したい。

【参考】関連記事としては「テスラの自動運転機能(FSD)とロボタクシーを徹底解説」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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