無人運転トラック上場企業Aurora ロボタクシー市場に参入か

参入は2028年以降か



出典:Aurora Innovationプレスリリース

時価総額約1.8兆円で米ナスダック市場に上場する自動運転トラック大手Aurora(オーロラ)が、ロボタクシー市場への参入を示した。同社は2030年に3万台超の無人トラックを走らせ、年間売上高50億ドル超を目指す計画を発表。自動運転トラックで採算を固め、その先にロボタクシーを見据えている。

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■Auroraがロボタクシー市場に参入か

Auroraがロボタクシー市場参入について言及した。最高財務責任者CFOマデイ氏は、2028年までに同社のコスト構造が大きく改善するとの見通しを示し、そのうえで、その段階に達すれば配車サービスに進むのは問題ないと述べている。


ただし、発言は条件付きの一言にとどまる。参入の時期や地域、使う車両、提携先は示されていない。9月23日の投資家向け説明会で公表された2030年までの計画にも、配車サービスの数値目標は含まれていない。新たな参入表明というより、以前からの構想を改めて認めた形だ。

Auroraはもともと、トラックと乗用車の両方で自動運転の事業化を狙っていた。2020年12月には米配車大手Uber(ウーバー)の自動運転部門ATGを買収し、Uberから4億ドルの出資を受けている。2021年2月にはトヨタ、デンソーと提携し、ミニバンのシエナをベースにした配車サービス向け車両の開発に着手した。当時は自動運転トラック事業を2023年末までに、配車サービス向け事業のAurora Connect(オーロラ・コネクト)を2024年に始める計画を掲げていた。

現在の事業の中心は自動運転トラックである。それでも同社は会社概要の中で、自動運転システムのAurora Driver(オーロラ・ドライバー)は貨物トラックから配車用の乗用車まで対応できると説明し、提携先としてトヨタとUberの名前を挙げ続けている。トラックで先に採算を固め、ロボタクシーはその後の狙いであることが示された格好だ。

【自動運転ラボの視点】
ロボタクシー市場は乗用車発の企業が先行してきた。Auroraの発言は、自動運転トラックで採算を固めてから参入するという別の道筋を示すものだ。物流発の企業が次の参入候補になるか、注目したい。

【参考】関連記事としては「自動運転トラックとは?開発企業は?【実用化時期・メリットも解説】」も参照。


■時価総額1兆円超の自動運転トラック大手「Aurora」とは

Auroraは2017年に設立された米国の自動運転開発企業で、本社を米ペンシルベニア州ピッツバーグに置く。創業したのは、米Googleで自動運転開発を率いたクリス・アームソン氏ら3人だ。残る2人も米EV大手テスラ(Tesla)やUberで自動運転や運転支援の開発を担った技術者で、アームソン氏は現在も最高経営責任者CEOを務めている。

2021年11月には、特別買収目的会社SPACとの合併を通じて米ナスダック市場に上場した。2026年10月2日の終値は5.67ドルで、時価総額は約113億6000万ドル。1ドル158円で換算すると約1兆8000億円となる。2026年通期の売上高見通しが1400万〜1600万ドルにとどまる段階で、1兆円を超える評価を受けている計算だ。

事業の特徴は、車両をつくらず自動運転システムの開発に絞っている点にある。米トラック大手PACCAR(パッカー)やスウェーデンの商用車大手ボルボ・グループ(Volvo Group)と組み、各社のトラックにAurora Driverを載せる形をとってきた。乗用車ではトヨタやUberと配車サービス向けの開発を進めた経緯があるものの、事業化で先行したのは自動運転トラックである。

2025年5月には、テキサス州のダラスとヒューストンを結ぶルートで、運転席に人を乗せない無人トラックによる商用輸送を始めたと発表した。設立から8年での事業化となる。従業員は約1900人。ロボタクシー市場への参入を語れる立場になったのは、この自動運転トラックの商用化があったからだ。


■2030年に無人トラック3万台、200台からの拡大計画

ロボタクシー参入の前提となるのが、自動運転トラック事業の拡大だ。Auroraは9月23日に米テキサス州ダラスで開いた説明会で、無人トラックの台数を2026年末に200台、2027年末に1000台超、2030年に3万台超とする計画を示した。売上高は2027年に約2億ドル、2030年には50億ドル超を見込む。2030年の粗利益率は60%超が目標だ。

200台から3万台へ。4年で150倍という数字は大きく見える。これに対しマデイ氏は、3万台は自動運転業界では多く感じられるものの、トラック市場全体から見れば小さいと説明した。大手トラックメーカー4社は年間25万〜30万台の新車を生産しているという。目標は願望ではないというのが同氏の立場だ。

実績も積み上がっている。Auroraの公式Xは9月25日、商用開始からの無人走行が累計50万マイル、約80万キロを超え、年末に200台を運行する分の割り当てがすべて決まったと投稿した。運行地域は現在、ダラスとヒューストンを結ぶルートなど米南部の数州に限られる。2030年までに米本土の大部分へ広げる計画である。

■1マイル2ドルから0.85ドルへ、収益モデルの転換

3万台という目標を支えるのが、収益モデルの転換である。現在のAuroraは、自社で無人トラックを保有して運行し、荷物を運んだ距離に応じて料金を受け取っている。料金は燃料費の上乗せ分を含めて1マイル、約1.6キロあたり約2ドル。顧客には米物流大手McLane(マクレーン)や米運送大手Werner(ワーナー)などが名を連ねる。

ただ、この方式は車両を自社で抱えるため資金負担が重い。Auroraは自社保有の台数を約500台までにとどめ、2027年からは新しい方式に軸足を移す。顧客がトラックを購入して保有し、Auroraには自動運転技術の利用料を払う仕組みだ。同社はこれをDriver as a Service(サービスとしてのドライバー)と呼ぶ。利用料は1マイルあたり約0.85ドルになる見通しで、車両の整備は顧客、自動運転システムと関連機器の保守はAuroraが受け持つ。

すでに顧客の運送会社1社が、500台を自社で保有して運行する意向を示している。納車は2027年に始まる予定だが、現時点では拘束力のない覚書の段階だ。Auroraは2027年末までに、運行車両の大半が新方式に切り替わるとみている。

採算の節目も示された。2027年上半期には約500台の規模で、粗利益が年換算でプラスに転じる見込みだ。2028年には約7500台まで増え、事業で得る現金が支出を上回る状態に年換算で到達するとしている。車両を自社の資産から切り離せるかどうかが、台数拡大の成否を分ける。

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■2027年後半に第3世代ハードウェア、製造から資金までAumovioが担う

次の節目は第3世代ハードウェアの投入だ。ハードウェアとは、センサーや計算機など、トラックを自動で走らせるための機器一式を指す。Auroraは2027年後半に第3世代の生産を始め、同年末までに量産の体制を整える計画である。

共同開発の相手は、独自動車部品大手コンチネンタル(Continental)から2025年9月に分離独立したAumovio(アウモビオ)だ。マデイ氏の説明では、Aumovioは開発と設計に加え、製造、資金の提供、保守までを担う。機器の代金を前払いで受け取るのではなく、トラックが走った距離に応じて1マイルあたり数セントを回収する。導入時の負担を抑える仕組みと言える。

Auroraは2026年7月に第2世代の機器を投入し、コストを従来の半分以下に下げたとしている。第3世代ではさらに量産効果が加わり、経済的な効果は2028年から本格的に表れる見通しだ。マデイ氏がロボタクシー参入の条件として2028年を挙げた背景には、この機器の世代交代がある。

■ロボタクシー市場参入で業界構図は変わるか

ロボタクシー市場は、米Google系の自動運転開発企業ウェイモ(Waymo)をはじめ、乗用車から出発した企業が先行してきた。Auroraが描くのは、自動運転トラックで採算を固めてから乗用車に広げる道筋である。実現すれば、物流から出発した企業がロボタクシー市場に加わる例となる。

もっとも、参入の具体像はまだ見えない。3万台や50億ドルという数字も会社の見通しであり、株式市場は慎重な見方を崩していない。計画どおり2028年にコスト構造が整うのか。Auroraのロボタクシー市場参入は、その結果にかかっている。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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