Uber 好決算でも3,300人を解雇へ 自動運転の普及見据え

中間管理職と重複組織を中心に解雇



米配車サービス大手Uber(ウーバー)が、記録的な好業績のさなかに大規模な人員削減へ踏み切る。解雇するのは3,300人で、自動運転の普及を見据えてロボタクシーへ経営資源を集中させる狙いがある。


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■好決算でも3,300人を解雇へ

Uberが2026年9月2日に発表した人員削減は、業績の低迷を理由とするものではない。むしろ、過去最高の決算を記録した直後というタイミングが際立つ。

コスロシャヒ氏は全社メールで、組織の階層が増えすぎて意思決定が遅くなっていると説明した。対象となるのは全従業員約34,000人のうち約10%にあたる3,300人で、単年の削減規模としては2020年のコロナ禍以来最大となる。

【自動運転ラボの視点】
好業績下でのリストラは、自動運転時代への転換点をUber自身が印象づける決断とも言える。稼ぐ力があるうちに大胆な資源配分へ動く姿勢は、業界の重心がロボタクシーへ移りつつある証左でもあるだろう。

【参考】関連記事としては「Uberが「ロボタクシー企業」に業態変更か」も参照。

■中間管理職と重複組織を中心に解雇し、リモートワークも廃止に

今回の削減は一律ではなく、組織構造そのものに切り込む内容になっている。コスロシャヒ氏によれば、CEOから7階層以上離れた従業員数を20%削減し、直属の部下が1人か2人しかいない小規模なチームは約50%減らす方針だ。


あわせてリモートワークもほぼ廃止する。今後は従業員の99%近くをオフィス勤務に戻し、完全リモートで働く社員は全体の1%程度にとどめるという。意思決定の階層を減らし、現場に近い場所で早く判断できる組織へ作り替える狙いがある。

組織のスリム化と歩調を合わせ、Uberはナイジェリアとウガンダでの事業を即時に停止した。両国限定の対応であり、アフリカ大陸全体の事業には影響しないとしている。

■過去最高益のさなかでの決断

皮肉なのは、この削減が業績不振の裏返しではなく、過去最高の決算のただ中で発表された点だ。


Uberが発表した2026年第2四半期決算は、売上高が141億9,000万ドルと前年同期比12.2%増加した。米国会計基準(GAAP)に基づく営業利益は19億ドル、純利益は24億ドルに達し、総取扱高も前年同期比22%増の580億ドルとなった。さらに直近12カ月のフリーキャッシュフロー(FCF)は史上初めて100億ドルを突破し、財務体質の強さを裏付けている。稼ぐ力があるうちに次の投資へ資源を振り向けるという経営判断が、今回の削減の背景にある。

■真の狙いはロボタクシーへの100億ドル投資

人員削減によって浮く経営資源の使い道は明確だ。Uberは今後数年で、自動運転関連の投資やインフラ整備、車両調達などに合わせて100億ドル規模を投じる方針を示している。2026年9月3日時点のドル円相場で換算すると、日本円で1兆5,000億円を超える規模になる。

タイミングも重なった。Uberが人員削減を発表した翌日の9月3日、米EV大手テスラTesla)が自動運転車両サイバーキャブ(Cybercab)を米テキサス州オースティンで限定公開した。両社の発表に直接の関連は確認されていないが、配車サービス各社が自動運転タクシー市場、いわゆるロボタクシー市場での主導権争いを強く意識していることを浮き彫りにした形だ。

テスラの自動運転Cybercab ついに「ハンドル&ペダルなし」で公道を走る

■Uberが示すロボタクシーへの本気度

今回の3,300人削減は、単なるコスト削減策ではない。過去最高の業績を記録しながら踏み切った人員削減は、Uberがロボタクシー事業へどれだけ本気で資源を振り向けようとしているかを映す指標と言える。

配車サービス業界全体を見渡しても、自動運転タクシー市場への投資競争は今後さらに激しくなる見通しだ。Uberの決算は、好業績のうちに大胆な手を打つ経営判断が、ロボタクシー市場でのポジション争いにおいてどれほど重視されているかを物語っている。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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