Google無人タクシー、東京都心部で走行開始まで「あと数ヶ月」でも最初は“無人”ではない可能性

高い安全基準やタクシー業界の規制で



出典:Waymo公式サイト

「ついにその時が来るのか」。自動運転業界に激震が走った。Google傘下の自動運転開発大手、Waymo(ウェイモ)の幹部が、東京でのロボタクシーサービス開始について「数ヶ月以内に準備が整う」と明言したのだ。

すでに米国ではフェニックスやサンフランシスコで日常の風景となっているWaymoのロボタクシーだが、複雑な交通環境を持つ東京への進出は、日本のモビリティ産業にとって極めて大きな転換点となる。しかし、期待が高まる一方で、日本特有の規制や国民性を考慮すると、当初は我々が想像する「運転席に誰もいない」形とは異なる可能性も浮上している。


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Waymo幹部が明かした「数ヶ月以内」のタイムライン。東京上陸のカウントダウン

Waymoの最高製品責任者(CPO)であるSaswat Panigrahi(サスワット・パニグラヒ)氏が、日本市場への参入が数ヶ月以内に可能であるとの認識を示した。注目すべきは、サービス開始の具体的時期について「数ヶ月以内」という言葉を使い、東京進出の意欲を鮮明にした点だ。

これは、2024年から進められている、日本最大級のタクシー配車アプリを運営するGO株式会社(旧Mobility Technologies)および、タクシー最大手の日本交通との戦略的パートナーシップが着実に実を結んでいることを示唆している。Waymoの車両と、日本のタクシー運行ノウハウを掛け合わせる戦略により、東京でのサービス展開が秒読み段階に入ったと言える。

当初、2025年前半から東京都心の港区、新宿区、渋谷区など7区を中心にデータ収集のための走行を開始するとしていたが、今回の発言は、単なる「テスト」から「実サービス」への移行が極めて近いことを意味する。


海外では「当たり前」の日常。Waymoとテスラが競う完全無人の世界

出典:Waymo公式サイト

米国において、Waymoはすでに実験段階を完全に卒業している。フェニックス、サンフランシスコ、ロサンゼルスといった主要都市では、週15万回以上の有料乗車を提供。スマホ一つで無人車両を呼び出し、目的地までプライベートな空間で移動する体験は、現地の住民にとって「当たり前の選択肢」になりつつある。

一方、ライバルのテスラも動きを加速させている。テスラ日本法人の橋本社長は「2026年中のFSD(完全自動運転ソフト)の日本実装を目指す」と公言している。テスラが2024年10月に披露した「Cybercab(サイバーキャブ)」は、ステアリングもペダルもない設計で、2026年からの本格量産が予告されている。東京の空の下で、Waymoとテスラという2大巨頭の哲学が激突することになるだろう。

関連記事としては「Googleの自動運転車、「トヨタより先」に東京都民に浸透も参照。

実は「無人」ではない?日本版ロボタクシーに課される「監視員」の壁

ここで注目したいのが、「数ヶ月以内」に始まるサービスの形態だ。米国のWaymoは「完全無人」だが、日本での上陸当初は「運転席に保安要員が同乗する」形式になる可能性が極めて高い。
日本の自動運転レベル4の認可には、極めて高い安全基準と、地域住民との合意形成が求められる。また、タクシー業界の「二種免許」や運行管理の規制も複雑だ。Waymo幹部は「準備が整う」としているが、これは「技術的に可能」という意味であり、まずはタクシーアプリ「GO」を通じて呼び出せる「高度な運転支援を備えた有人タクシー」としてスタートし、段階的に無人化を目指すシナリオが現実的だ。


「無人だと思って呼んだら人が座っていた」という形態は、ある種の「安心感」として日本市場に受け入れられるためのステップとなるのかもしれない。

足並みが乱れる「日本勢」。国産ロボタクシーの現在地と苦境

外資勢が攻勢を強める中、日本国内勢は戦略の再構築を余儀なくされている。かつて期待を集めたホンダ・GM・クルーズの連合は2024年末に提携を解消。専用車両「クルーズ・オリジン」の投入は幻となった。

現在、ホンダは独自の体制で国内向けの自動運転サービスを再定義しているが、Waymoのような「今すぐ実装」というスピード感には届いていない。一方、物流分野では、三菱商事と三井物産が出資するT2(ティーツー)が着実に実績を積んでおり、2026年3月には自動運転トラックによる500kmの高速道運行に成功。乗用タクシー分野での遅れを、物流・商用車分野がカバーする形となっている。

東京の空気を変える「黒船」。この進化を受け入れられるか

Waymoの東京進出は、単なる新しいタクシーサービスの導入ではない。それは、日本が「自動運転後進国」になるか、あるいは世界に先駆けて複雑な都市環境での自動運転を成功させるかの試金石だ。

かつてiPhoneが日本の携帯電話市場を一変させたように、Waymoの白い車両が東京の街角を埋め尽くす日は、私たちが想像するよりもずっと近くに来ている。数ヶ月後、スマホで呼び出した車が静かに目の前に停まったとき、私たちは本当の意味での「未来」を体感することになるだろう。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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