
自動運転車の「神の目」とも呼ばれるLiDAR開発を手掛ける米Luminar Technologies(ルミナー・テクノロジーズ)の創業者であるAustin Russell(オースティン・ラッセル)氏が、CEO(最高経営責任者)を退任した。
ラッセル氏といえば、高校在学中の17歳でルミナーを設立し、同社のシンボルとして長年LiDAR開発を率いてきた存在だ。若くして起業し頭角を現してきたことから、自動運転界の「ジョブズ」とも呼ばれることもある。
過去に米フォーブスの「30 UNDER 30(30歳未満の特筆すべき30人)」や「The world’s youngest self-made billionaire(世界最年少の自力での億万長者)」に選出されてきた注目の人物である同氏。CEOを辞することになった理由とは。
【参考】関連記事としては「LiDARセンサーとは何?自動運転やiPhone向けで注目!何ができる?」も参照。
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■突然のCEO交代劇
ルミナーの取締役会は2025年5月14日、ラッセル氏が同社の社長兼CEOおよび取締役会会長を即刻辞任したことを発表した。そして同月21日付でPaul Ricci氏をCEOに任命した。
同社のプレスリリースによると、これは取締役会監査委員会による「企業行動規範および倫理」に関する調査結果によるもので、今回の件が財務実績に影響を及ぼすものではないとしている。ラッセル氏は引き続き取締役として在任し、新任CEOへの移行および技術面に関する支援を行う予定となっている。
ラッセル氏の退任理由については具体的な説明がなく、辞任を強いられたのか、自発的に辞任したのかは不明だ。またCEOの交代が発表された翌日には、取締役を務めていたJun Hong Heng氏も辞任していたことが明らかになった。米メディアがラッセル氏とHeng氏にコメントを求めたが、回答は得られていない。
▼Luminar Announces Leadership Transition
https://investors.luminartech.com/news-events/press-releases/detail/102/luminar-announces-leadership-transition
■新CEOに任命されたPaul Ricci氏とは?
新たにルミナーのCEOに任命されたRicci氏は、かつて音声認識技術を手がける米Nuanceの会長兼CEOを約20年間務めていた人物だ。
ルミナーの取締役会は新CEOについて「技術的洞察力と卓越した業務遂行能力を兼ね備えた稀有なビジョナリーリーダー。イノベーションへの情熱、組織をスケールさせる力、そしてテクノロジーの未来を見通す直感を持ち合わせており、当社の次なる成長フェーズを導くのに理想的な人物である。取締役会は彼のリーダーシップに全幅の信頼を寄せており、これからの展開を大いに楽しみにしている」とコメントしており、大きな期待を寄せていることが分かる。
不思議なのは、会社を創業し多大な功績を残してきたはずのラッセル氏について、プレスリリースでは何の言及もないことだ。分かっているのは、同氏の辞任は「倫理調査の結果」であるということのみだ。
なお新しくCEOになったRicci氏の年齢は60代後半のようだ。ラッセル氏は1995年生まれで今年30歳。親子ほどの年齢差の人物が会社を引き継ぐことになる。

■「神童」と呼ばれたオースティン・ラッセル氏
CEOを退任したラッセル氏は、11、12歳の時に自宅ガレージを改造して光学・電気に関するラボを作るなど、早くから科学技術の領域に足を踏み入れていた。
14、15歳のときに光工学に興味を持ち、LiDARの実験を開始。その後、世界中の論文やインターネット活用のもと知識を蓄え研究を重ね、2012年、高校在学中の17歳でルミナーを設立する。卒業後はスタンフォード大学に進学するが、約半年で中退し事業に集中した。
独自開発したLiDARで自動運転車市場に参入することを2017年に表明。トヨタグループのTRI(トヨタリサーチインスティチュート)やボルボ・カーズ、フォルクスワーゲングループの「Autonomous Intelligent Driving(AID)」、Daimler Trucks、Mobileye、エアバス子会社、Pony.aiなど有力企業と次々にパートナーシップを結んだ。
2020年には米ナスダック市場にSPAC上場を果たしている。しかし上場すぐは500ドル前後であった株価は、この数年は100ドルを割り、最近では3〜6ドル程度までに大幅下落している。
■ルミナーは5月からリストラも開始
ルミナーはCEO交代を発表してすぐ、新たにリストラを進めていることが判明した。規制当局への最新の提出書類では、2025年5月15日からさらなるレイオフ(一時解雇)を開始したと記載されているが、具体的な人数は公開されていない。
これは2024年に行われた大規模な人員削減に続くもので、2024年には全従業員の約30%を削減している。一部のレイオフは2025年の第1四半期までずれ込んでおり、合計212人が解雇されているという。
2024年頃からは目立ったニュースがなかったルミナー。事業が窮地に立たされていることは間違いないようだ。新しいCEOは立て直しを行うことができるのだろうか。注目していきたい。
【参考】関連記事としては「Luminarの自動運転・LiDAR戦略」も参照。