優勝者がトヨタ自動車の本社へ招待されるというイベントが開催された。一般社団法人42 Tokyoとトヨタは共同で「自動運転ミニカーバトル」を2024年1月26日に開催した。学生のキャリアの選択肢を広げることを目的としたレースだ。
■ラジコンを改造して速さを競う
自動運転ミニカーバトルは、「42 Tokyo」の学生向けに行われた、電子制御のミニカーでソフトウェアとハードウェアの連携を実践的に学ぶイベントだ。
今回のレースでは、42 Tokyoの学生56名が2〜4名の計15チームに分かれ、ラジコンを改造した自動運転ミニカーを走らせてその速さを競った。
学生は、ハードウェアの調達からソフトウェアの実装までを行った。超音波センサーやカメラなどでコース壁や障害物を検知し、モーターを制御して回避するよう走行プログラムを作成し、指定されたコースを走らせた。優勝チームは周回を約22秒で走行したという。
■ソフトウェアエンジニア養成機関「42 Tokyo」
2013年に設立されたフランス発のエンジニア養成機関「42」は学費無料のソフトウェアエンジニア養成機関で、日本初のキャンパスである42 Tokyoは2020年6月に開校している。
日本や世界を牽引するようなエンジニアを輩出することを目指し、経歴不問・学費無料・24時間オープンのキャンパスで、バックグラウンドを問わず誰もが最新のカリキュラムでプログラミング学習に挑戦できる環境を提供しているという。42は、現在世界31カ国54キャンパスで展開されている。
■トヨタが開催する意義
トヨタは今回のイベント開催にあたり、「自動車業界は『100年に一度の大変革期』を迎えており、当社はモビリティカンパニーへの変革を進めています。自動運転をはじめとした様々な技術開発において、ソフトウェアが担う役割は日々大きくなり続けています」と現状を説明した。
また、「日本の産業を発展させ元気にしたいという42Tokyo様の理念に共感するとともに、実際に自分で書いたソフトウェアでリアルなものが動く、社会に実装される姿を自分で目にすることができる魅力を感じていただければ」と、このイベントの目的を説明している。
自動運転を学ぶ者にとって、トヨタは最先端の技術開発を大きな規模で行う憧れの企業の一つと言える。トヨタ本社の見学は、モチベーションが大きくアップすることだろう。
■ソフトウェア技術者の就職先としての自動車産業
42 Tokyoによると、自動車産業においても電子化が進みソフトウェアエンジニアが求められるようになったが、そういった人材のニーズがあることの認知が十分でなく、自動車産業がエンジニアのキャリアの選択肢に入らないことが多いという状況にあるという。
今回のイベントは、さまざまな選択肢の1つとして、自動車業界でソフトウェアエンジニアとして活躍する未来を想像できるような場をつくりたいといったことから開催された。自動運転業界の未来を担う人材は、こういった場所からも育っていく。
【参考】関連記事としては「名古屋大の活躍目立つ!自動運転AIチャレンジ、第4回大会の結果は?」も参照。