自動運転ベンチャーの株式会社ZMP(本社:東京都文京区/代表取締役社長:谷口恒)の第22期(2022年1月〜12月)の決算公告が、このほど官報に掲載された。
当期純損失は9億7,528万円。なお前期の当期純損失は7億8,497万円だった。
■貸借対照表の要旨
▼資産の部(単位:千円)
流動資産 1,136,254
固定資産 262,944
投資その他の資産 262,944
資産合計 1,399,198
▼負債及び純資産の部(単位:千円)
流動負債 496,425
固定負債 627,813
株主資本 273,554
資本金 100,000
資本剰余金 1,148,841
資本準備金 1,148,841
利益剰余金 △975,287
その他利益剰余金 △975,287
(うち当期純損失 975,287)
新株予約権 1,405
負債・純資産合計 1,399,198
■果敢にチャレンジを続けるZMP
2001年設立のZMPは自動運転ソリューション事業のほか、1人乗りロボ「RakuRo(ラクロ)」や宅配ロボ「DeliRo(デリロ)」、警備ロボ「PATORO(パトロ)」、物流支援ロボ「CarriRo(キャリロ)」など、数多くの自動運転ロボットの開発を手掛けている。
2023年に入っても開発の勢いは衰えず、2月には複数台の無人フォークリフト「CarriRo Fork(キャリロフォーク)」が協調して搬送業務を行うシステムを開発し、受注を開始したことを発表した。同社のロボット管理プラットフォーム「ROBO-HI(ロボハイ)」の群制御機能により実現されたシステムだという。その翌月にROBO-HIのサービスを開始している。
また3月にはCarriRoが物流企業のセンターへ導入され、フォークリフト作業の省人化に成功したことも発表している。垂直搬送機から仕分け場まで70メートルのパレット搬送をCarriRoが代替することにより、フォークリフト作業者2名の省人化を実現した。
4月には、戸田建設が行った複合実証実験にDeliRoとROBO-HIを提供した。サービスロボットと人間の同乗連携および屋外から建物内への配達に関する実証で、DeliRoが遠隔監視のもとエレベーターで移動しオフィスへ荷物を配達するという内容であった。また、異常時を想定したDeliRoの挙動を設計し、疑似的に災害を発生させることで実際の動きを検証したようだ。
■自動運転ロボット向け保険商品の開発も
2023年5月には、あいおいニッセイ同和損保と自動運転ロボット向けに専用補償を共同開発し、「自動運転ロボット専用保険プラン」として販売を開始した。
「自動運転ロボット等特約」は、自動運転ロボットの事故が起こった際に、ロボットを回収し修理工場等まで運搬する費用や、修理完了後にロボットの保管場所まで運搬するための費用を、保険金額の10%を限度に支払うというものだ。この特約により、修理可能な工場などの所在地に関わらず、全国各地での自動運転ロボットの導入を支援するという。
さらに同月には、宅配ロボット「DeliRo Truck(デリロ トラック)」を活用した自動配送ソリューションの受注を開始したことを発表した。
工場や研究機関、教育機関、病院等などの広い敷地を有する場所において、資材や書類の運搬を人間が行うことは、労力と時間、コストがかかる。屋内外問わず走行可能な同ロボットを荷物の配送・書類の定時配送に活用することで、省人化を実現するようだ。
■日本で有数の自動運転ロボ開発企業
ZMPは、幅広い分野に向けての数多くの自動運転ロボットを開発しており、開発数と実績では日本で有数の開発企業と言える。今後の開発状況と今期の決算にも引き続き注目していきたい。
※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。
【参考】関連記事としては「自動運転ベンチャーのZMP、第21期決算は純損失7.8億円」も参照。