世界の自動運転ニュース、「テスラ」が総なめ状態!

良くも悪くも注目の的に



テスラのイーロン・マスクCEO=出典:Flickr / Public Domain

日本や海外の自動運転関連のニュースに日々目を通していると、どのような企業に注目が集まっているのかが良く分かる。

よくニュースで取り上げられる企業は(プレスリリースやPR活動に多額の費用を投じているケースももちろんがあるが)、基本的には業界・世間における注目度は高いと言っていい。そして最近の傾向としては、テスラ関連の自動運転ニュースが占める割合は相当高い。


例えば、以下のURLからGoogle Newsの英語版で「Autonomous Cars」(※自動運転)と検索した結果を見てほしい。

▼autonomous cars|Google News
https://www.google.com/search?q=autonomous+cars&gl=us&hl=en&pws=0&source=lnms&tbm=nws&sa=X&ved=2ahUKEwiWu-brlLn9AhWa0mEKHY8-B0EQ_AUoAnoECAEQBA

もちろん、こうした検索結果はアクセスするタイミングでラインナップが変わるが、最近はテスラのニュースが多くを占めている。英語版のGoogle検索で「Autonomous Cars」と検索した場合に検索窓直下に掲載される「Top stories」でも、ずらりとテスラのニュースが並ぶ。

出典:Google検索
■ネガティブなニュース多し

テスラの関連ニュースを整理していくと、同社にとってネガティブなことが報じられているケースが多い。


自動運転システムFSDに事故のリスク──。リコールに関連する自動運転ソフトウェアの提供を一時停止──。自動運転技術の安全性を「誇張」したとして株主が提訴──。

ちなみに、こうした状況でも最近のテスラの株価は大きく上昇している。自動運転関連技術への懸念よりも、今年に入ってからEVの受注が好調なことなどを投資家が重視し、「買い」を呼んでいる状況だ。

■確かにPVを稼ぎやすいが…

以上が昨今の自動運転関連ニュースを俯瞰した現状だが、少し見方を変えると、世界の自動運転ニュースにおいてテスラの総なめ状態となっている状況は、あまり良い傾向であるとは言えないのではないか。

テスラというビッグネームの記事は確かにPV(ページビュー)を稼ぎやすいが、世界には他にも優れた自動運転技術を開発し、商用化に成功している企業も存在しているからだ。


たからこそ、我々のような自動運転の専門メディアが、業界を俯瞰して大小さまざまな最新ニュースを発信しているわけだが、一般メディアももう少しネタ選びの際に「脱テスラ」を進めないと、自動運転技術を開発しているのはテスラだけ──といった印象を読者に与えかねないかもしれない。

昨今の自動運転関連ニュースの「テスラ総なめ状態」から、こうしたことを感じた。

【参考】関連記事としては「テスラの自動運転技術(2023年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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