最近、米サンフランシスコのAI(人工知能)を研究する団体「OpenAI」が作ったチャットボット「チャットGPT」が話題だ。OpenAIは、2015年にイーロン・マスク氏らが設立した非営利団体だ。
チャットGPTは2022年11月30日から一般公開されており、無料で試せる。OpenAIのCEO(最高経営責任者)であるサム・アルトマン氏によると、公開から1週間で100万人以上の利用者がチャットGPTと会話を試みているようだ。
このチャットGPT、自動運転ビジネスとの親和性が高そうだ。
▼ChatGPT : Optimizing Language Models for Dialogue
https://openai.com/blog/chatgpt/
■まるで人間と会話しているかような・・・
そもそもチャットGPTとは何か。チャットGPTは、人間のフィードバックによって訓練されている。この訓練で活用されている技術が「強化学習」と呼ばれるものだ。
チャットGPTは、単にユーザーの質問に対する検索結果を提示するのではなく、ユーザーの真意を理解し、必要な要素をまとめ、人間の会話文体に似せた文章で、まるで人間が答えているかのような回答をするように設計されている。
言い換えれば、ユーザーに「忖度」し、おせっかい的に、必要だと思われる情報をまとめて提供するというわけだ。この仕組みが一般に広く使われるレベルにまで洗練されれば、人々がGoogleで「検索」をする回数はかなり少なくなるかもしれない。なんせチャットGPTが「それも知りたかった!」という情報をまとめて出してくれるのだから。
そうしたこともあり、チャットGPTは「Disruptive Technology」(破壊的技術)とも言われ始めている。検索サイトの運営で巨大企業に成長した米Googleや中国・百度(Baidu)の現在の地位は揺らぐかもしれない。
■自動運転車で音声版チャットGPTが活躍?
チャットGPTの活用法としては、人々の知りたい欲求に応じることはもちろんだが、自動運転車の車内でも活躍することになりそうだ。どうしてなのか。
車両が自動運転化されれば、車内からハンドルやブレーキは無くなる。その場合、行き先の指示・変更などの多くは「音声」でAIとやり取りされることになり、AIが情報をリコメンドしたり、車両に乗っているユーザーの質問に応じる際にも音声が使われる。
ユーザーの質問にAIが応じるときに、チャットGPTのような仕組みが導入されれば、ユーザーはより短い時間で的確な回答を得ることができる。こうした「良さ」は、各社が開発する自動運転車の「差別化」の要因の1つになるかもしれない・・・。こうしたロジックだ。
チャットGPTはまだ登場したばかりの新鮮な技術・仕組みだ。これから本格的にモビリティ業界での活用方法も模索されていくだろう。
【参考】関連記事としては「自動運転時代、音声認識は「即時性」必須!米セレンスの取り組みに注目」も参照。