自動運転レベル3を世界で初めて搭載したホンダの新型「レジェンド」の価格は、1,100万円だ。レベル3搭載の意義は非常に大きいが、一般庶民にはまだまだ手が届かない価格帯だ。
自動運転機能が搭載された乗用車は、いずれは現在の「普通のクルマ」と同じような販売価格となるのか?量産体制が整えば、そうなる可能性が上がっていくはずだ。
■自動運転車に対する高い期待
第一生命経済研究所が2021年に発表した「消費者意識調査からみるモビリティの実態と自動運転の可能性」によると、全国18〜79歳の男女約3万6,000人へ調査した結果、7割弱が自動運転車へ期待しているという。
自動運転車へ期待する内容としては、「生活が便利になる」「ドライバーの負担が軽くなる」「高齢者など移動弱者の交通手段が増える」といった声が多かった。
このように、自動運転車の一定のニーズはある。しかし現在の新車平均価格が200万〜300万円と言われる中、自動運転レベル3以上を搭載した乗用車で、一般の人でも広く手が届く価格の車両は存在していない。
▼消費者意識調査からみるモビリティの実態と自動運転の可能性
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/automobile/Automated-driving/miyaki.pdf
■製造コストを下げる動きもあり
世界中で高まる自動運転車に対するニーズに応えるため、自動車メーカーによっては量産体制を整え、製造コストを下げようとする動きがある。
たとえば市販車より先に実用化が進んでいる「ロボットタクシー」に関しては、中国のネット検索大手Baidu(百度)は、通常1台の製造コストは約2,000万円と言われる中、生産手法などを見直すことで約500万円に抑えることに成功したという。
ロボットタクシーで製造コストを抑えることができるなら、当然、市販車を製造する際にも同じことが可能になるはずだ。
■「メリット」に見合う価格でなければ・・・
自動運転車が普及すれば、高齢者自身が運転をしなくても、「高齢者の足」が確保される。低コストで運用できる自動運転バスが実用化されれば、地方路線を「黒字」で運行し続けることができる。自動運転に対する期待感は非常に大きい。
しかし、価格がこうした「メリット」に見合うものでなければ、最終的に自動運転車は普及していかない。製造コストを抑えるための各社の努力は、自動運転社会の到来に必要不可欠なものであると言える。
【参考】関連記事としては「自動運転、「商用展開」を実現済みの企業・事例まとめ」も参照。