ついに日本に「動く会議室」!愛知の自動運転実証で登場

車内の窓ガラス、プレゼンを投影可能に



(写真左)実証実験で使用される車両/(写真右)車内の窓ガラスに特殊フィルムを貼り付け、プレゼンテーションなどの映像を投影できるようにする=出典:愛知県プレスリリース

愛知県名古屋市内の名駅南から、栄南地区を東西に結ぶ三倉通をメインにした経路において、自動運転車の実証実験が2022年9月1日から1カ月間行われる。「動く会議室」というコンセプトのもと、車内の窓ガラスには特殊なフィルムが貼り付けられ、プレゼンテーション映像などを投影できるようだ。

■ARMAを使った実証に7社1大学が参加

愛知県は将来的に名古屋駅と「STATION Ai」(鶴舞)を自動運転車で結ぶことを目指している。今回の実証では全部で5つのルートが用意されており、利用者の都心への立ち寄りやすさや、比較的交通量が少なく実証に適しているとして、三蔵通がメインのルートが設定された。ビジネスでの活用検証が目的なため、一般向けの試乗は行われない。


事業を統括し車両を提供するWILLERをはじめ、7社1大学が参加する。WILLER EXPRESSは自動運転バスの運行計画・トレーニング支援を、名鉄バスは自動運転バスの運行計画の策定・運行と遠隔モニタリングを、ST Engineeringは自動運転システムの技術面サポートを、BOLDLYは3Dマップ作成と自動走行設定、操作社ライセンストレーニングを担う。

名古屋工業大学はモビリティを通じてクリエイティブの創出と都市デザインの共同研究を、STATION Aiはモビリティの付加価値想像における検証を、AGCは窓ガラスへの映像投影に係る技術サポートを担う。

車両は仏Navya社の自動運転シャトル「ARMA(アルマ)」を利用する。車内には運転席やハンドル、アクセル、ブレーキペダルはなく、手動走行が必要なときにはゲーム機のコントローラーで操作する。

■活用検証ではスタートアップ10社が参加

「動く会議室」を使って移動時間を有意義に過ごす車室空間の活用検証も実施するという。ブレインストーミングや社内会議、グループミーティング、オンラインミーティングなど使い方はさまざまだ。車室空間の活用検討には以下のスタートアップ10社が参加予定だ。


  • エバーコネクト株式会社
  • 株式会社シグニス
  • 株式会社ハハカラ
  • 株式会社ミライ菜園
  • RainTech(レインテック)株式会社
  • 株式会社コーピー
  • scheme verge(スキーム バージ)株式会社
  • 学び舎mom(まなびやマム)株式会社
  • 株式会社Mobirta(モビルタ)
  • 株式会社LOZI(ロジ)

愛知県は今回の実証において、車室空間の活用方法を自ら提案して検証する試乗を希望する企業を募集している。同時に小学4年〜6年生を対象に、子ども向けの自動運転ワークショップも開催予定で、参加者を募集している。それぞれ専用フォーム・サイトなどから申し込み可能だ。

■【まとめ】進む次世代車室空間の開発

自動運転化が進むと、車内でのどのような時間を過ごせるかが大事になる。車室空間を仕事の場として活用できれば、移動中に会議などを効率的に行え、付加価値がつく。今後も次世代車室空間の開発に期待したい。

▼名駅南~栄南地区における自動運転実証実験の実施について
https://www.pref.aichi.jp/press-release/jidounten-nagoya-2022.html

【参考】関連記事としては「自動運転バス、愛知県「再現できるビジネスモデル」確立へ」も参照。


記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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