「人の送迎のみでは車両の空き時間が発生し非効率な運用になる」「車両の稼働率が低いと将来事業化した際に採算が見込めない」
自動運転移動サービスの実証実験でこうした点が課題として挙がり、その課題を解決するための取り組みが始まっている。その取り組みとは「貨客混載」だ。
■2022年2〜3月に貨客混載型で実証実験
愛知県春日井市と名古屋大学、KDDI総合研究所はこれまで、自動運転移動サービスの実証を行う中で、こうした課題に気付いた。そして、2022年2〜3月にかけて貨客混載型で自動運転の実証実験を行うことを決めた。
実証実験では春日井市の高蔵寺ニュータウン地区において、利用者からの乗車・配達注文の予約に応じ、自動運転車「ゆっくりカート」が運行する。
運行においては、複数予約の運行設定や相乗り調整が可能なシステムを「貨客混載型」に改良したシステムが使用され、人の輸送と荷物の配達を効率的にこなす最短ルートの計算が随時可能となっている。
■2017年に日本で解禁された貨客混載
日本では2017年にタクシーやバスによる貨客混載が解禁され、2018年には佐川急便が京都でタクシーを使った貨客混載を日本で初めて行っている。その後、タクシー会社による貨客混載の取り組みも盛んになった。
現在では、JR西日本やJR九州など大手鉄道会社が新幹線を利用した貨客混載事業を展開しているほか、ヤマト運輸などの運送会社も鉄道や路線バスを使った取り組みに力を入れ始めている。
日本で盛り上がりつつある貨客混載。貨客混載と自動運転タクシーのマッシュアップ(組み合わせ)への注目度も、さらに高まっていきそうだ。まずは今回の実証実験の成果に注目だ。
【参考】関連記事としては「自動運転、しかも無料!タクシー無料化は4つの収益源で実現」も参照。