豪州の研究プロジェクトチームが、自動運転車向けの新たな技術を開発した。「レントゲンモード」(X-ray Vision)と呼ばれる技術で、他の車両や建物などを透かすことで、運転車両から見えない歩行者をシステム側が発見できるようになるという。
■さまざまな車両からのセンサーデータを統合・共有
実際にはレントゲンのように、他の車両や建物などが透けるわけではない。道路を走行する複数の車両から集めたさまざまな角度からのセンサーデータを統合したあと、その統合データを各車両と共有することで、遮蔽物の先に何があるのかを認識させるという仕組みだ。
以下の動画を観てもらうのが、一番分かりやすいかと思う。動画上では他の車両のLiDARやカメラで認識した人やクルマの存在を、レントゲンを撮ったときのようなビジュアルで表示している。
ちなみにこうした技術は「協調的知覚」や「集合的知覚」などと呼ばれる。各車両からのセンサーデータは「ITS Stations」と呼ばれる情報共有ユニットに集められ、各車両はそのユニットから統合されたデータを通信で取得する流れのようだ。
■技術開発に3年、早期の商用化を目指す方針
このプロジェクトに取り組んでいるのは、豪州政府が出資する研究センター「iMOVE」と交通ソフトウェア企業のCohda Wireless、シドニー大学だ。この技術の開発に3年を費やし、このほど新技術として「X-ray Vision」を発表した。
X-Ray Visionは自動運転車だけではなく、人が運転する自動車の運転支援機能としても展開する方向性のようで、シドニー大学のエドゥアルド・ネボット教授は「(新技術は)人間が操作する自動車と自律走行車の両方にとってのゲームチェンジャー」と強調している。
現在は研究段階の技術だが、早期の商用化を目指していくようで、今後の展開に注目が集まりそうだ。
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