国土交通省が空飛ぶクルマやドローンなどの次世代モビリティの技術基準の策定へ向け、体制を強化するようだ。この分野の研究開発に携わった人材などを新たに採用し、設計審査業務などの人員も厚くする。具体的には2021年2月8日〜3月26日にかけ、職員を募集している。
▼航空機の安全審査等を行う技術系職員を募集します
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001385840.pdf
■ロードマップの実現に向けて人員強化
空飛ぶクルマの実現に向けた官民協議会「空の移動革命に向けた官民協議会」は2018年に設立され、その年の12月に空飛ぶクルマの実用化へ向けたロードマップを提示している。
ロードマップによると、2019年から飛行試験や実証実験を進め、実証の結果や事業者が提示するビジネスモデルをふまえた体制づくりを経て、2023年にモノの移動における実用化を目指している。
こうしたことを踏まえると、今回の募集はこうしたロードマップの実現に向けたものであると言えそうだ。
【参考】関連記事としては「「空飛ぶクルマ」とは?2020年代に実現濃厚…基礎知識を徹底解説」も参照。
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— 自動運転ラボ (@jidountenlab) January 16, 2021
■ベンチャー企業による空飛ぶクルマ開発が盛んに
空飛ぶクルマに関しては、こうした国の動きに加えて、民間企業の取り組みにも注目しておきたい。日本国内でもすでにベンチャー企業などが空飛ぶクルマの開発に取り組んでおり、他国に負けじと着々と技術力を高めている。
例えば若手技術者団体の「CARTIVATOR」とSkyDriveは、2020年8月に1人乗りの有人試験機「SD-03」で公開有人飛行試験を実施し、話題を呼んだ。2023年の事業化を目指しているという。
東大発スタートアップのテトラ・アビエーションは、2020年2月に米国で開催された機体の開発を競う国際大会「GoGly」に出場し、最も革新的な開発を手掛けたディスラプター(破壊的イノベーター)に与えられる賞を受賞した。空飛ぶクルマの実用化目標は2025年だ。
産業用ドローンシステムの研究開発と製造を手掛けるプロドローンは、救急ドローン「空飛ぶ救急車」を開発しており、各自治体の消防や医療機関、自衛隊、大型テーマパークなどを利用層として想定しているようだ。
■【まとめ】国の取り組みと民間企業の取り組みの両輪で
空飛ぶクルマの実用化のためには、国側は審査基準の策定やインフラ整備などを、民間企業側は機体開発や技術開発をそれぞれ進める必要がある。どちらか一方が欠けても実用化は成されないため、国そして民間企業の両方の動きに注目していきたい。
【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマの開発企業まとめ 日本と世界、開発進捗は?」も参照。