「観光型MaaS」「都市型MaaS」といったワードはよく聞くようになってきたが、「Web型MaaS」を訴求する実証実験も新たにスタートした。
京都の奥座敷と呼ばれる大原・八瀬・鞍馬・貴船などの洛北エリアで2020年11月6日までに、Web型MaaS「奥京都MaaS」の実証実験が始まった。ウェブサービスの利点を活かすMaaSのことを「Web型MaaS」と定義し、取り組みを進めていくようだ。
■「奥京都MaaS」の概要は?
今回の実証実験は、京阪ホールディングスと東日本旅客鉄道(JR東日本)、京都市、京都市観光協会が共同で始めたものだ。期間は2021年1月31日までの予定だという。
実証実験では京都を訪れる観光客を洛北エリアへ分散させ、京都市内中心部の混雑緩和と消費の分散化、「朝観光」と「夜観光」の促進による観光時間帯の分散化などを目指すという。
そして今回の実証実験の目玉である仕組みが、検索・手配・決済がワンストップで可能なウェブサービスだ。JR東日本の「モビリティ・リンケージ・プラットフォーム」をベースに構築され、JR東日本のアプリと連携して京都旅行に関心がある人にアプローチしていくという。
報道発表ではこのほか、Webサービスの利点を活かした点として、以下の3点を挙げている。
- カスタマイズ可能な行程管理機能を活用した、洛北周遊モデルコースの提案
- デジタル企画乗車券・飲食チケットのキャッシュレス販売・発券
- QR コードを活用した非接触のデジタルスタンプラリー
そのほか、新型コロナウイルス対策としてエリアの密情報を確認できるよう、細かいメッシュ単位で京都市内の人口推計データを1時間ごとに確認できる機能も実装されている。
■多様化するMaaSのカタチ
観光型MaaSや都市型MaaS、そしてWeb型MaaSも取り組み内容が重なる点が多いが、奥京都MaaSではよりウェブサービスの強みを生かす形で取り組みを進めていくようだ。
ちなみに最近では「環境配慮型MaaS」という取り組みに関する検討が開始されたことでも話題になった。鉄道などの二次交通やEVカーシェアリングサービスをユーザーが検索・活用しやすいようにすることで、移動が環境に与える悪影響を最小限にしようという試みだ。
このようにMaaSの取り組みはいま多様化しており、新たな「◯◯◯MaaS」も今後誕生していくことになりそうだ。
【参考】関連記事としては「国内初の「環境配慮型・観光MaaS」を展開!JTBと東武、日光地域で」も参照。