米ライドシェア最大手のUber(ウーバー)社が、米グーグル系の自動運転車開発企業Waymo(ウェイモ)社との提携を検討していることがわかった。日経新聞が報じている。一時は訴訟沙汰にまで発展した両社だが、ここにきて世界最大級の仲直りを見せるのか大きな注目を集めそうだ。
報道によると、ウーバー社のダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)がネットメディア主催のカンファレンスで「我々のネットワークに彼らの車を組み込めないか、ウェイモと話をしている」と発言したという。詳細については明らかにされていない。
摩擦の発端はグーグルを退社したレバンドウスキー氏
両社の摩擦は、グーグル社を退職した一人のエンジニア、アンソニー・レバンドウスキー氏に端を発する。
レバンドウスキー氏は退職後、自律運転トラック企業のオットー社を立ち上げるが、間を置かずしてこれをウーバー社が6億ドル超で買収し、自動運転研究開発の責任者にレバンドウスキー氏を据えた。ウェイモ社は、同社が開発した自動運転関連の企業秘密1万4000点以上をレバンドウスキー氏が不正に持ち出したとして、2017年2月にウェイモの自動運転テクノロジーの差し止めや技術文書の返還などを求め、ウーバー社と傘下となったオットー社を提訴した。
技術開発競争を象徴するようなこの訴訟は、2018年2月、ウーバー社が自社株の0.34パーセント(約2億4500万ドル=255億円と言われている)をウェイモ社に譲渡する形で和解となった。
アルファベット7400億ドル、ウーバー680億ドル
2018年6月時点で、ユニコーン企業(評価額が10億ドル以上で非上場のベンチャー企業)の中で世界トップの評価額を誇るウーバー社の時価総額は680億ドルと言われる。一方、グーグル社やグループ会社の持ち株会社である米アルファベット社の時価総額は、約7400億ドルで世界4位。単純計算で両社を足すと約8000億ドル(約90兆円)超となる。
いまだ成長を続ける両企業。2社を合わせた時価総額が100兆円規模になる日も近い。世界が注目する両企業の歩み寄りに、注目が集まる。
【参考】自動運転業界では技術開発の加速に向け、人工知能(AI)を含む自動運転エンジニアやキーパーソンの移籍・流出が加速している。詳しくは「米EV大手テスラが組織再編へ 有力幹部、グーグル系自動運転部門ウェイモへ移籍|自動運転ラボ 」も参照。