米ウーバーの自動運転車が2018年に米アリゾナ州で起こした歩行者死亡事故で、車内にいたセーフティードライバーが過失致死罪で訴追されたことが、2020年9月27日までに明らかになった。
事故当時、セーフティードライバーは時速63キロで走行する自動運転車の運転席に座っていたが、衝突直前の数秒間は下を向いてテレビ番組を視聴していたという。ダッシュボードのカメラを確認したところ、こうした事実が判明している。
米メディアの報道によれば、警察と米国家運輸安全委員会(NTSB)は人為的な問題によってこの事故が引き起こされたと判断し、セーフティードライバーの訴追に踏み切ったという。
自動運転車の実証実験中に歩行者が犠牲になったのはこの交通事故が初だったこともあり、セーフティドライバーが訴追されるかどうかに注目が集まっていた。公判は2021年2月に始まる予定。セーフティードライバーは無罪を主張している。
■事故の原因は人為的なもの、防ぐためには?
今回の事故は、セーフティドライバーがきちんと前方を注視していれば防げたものだと考えられている。つまり「自動運転が可能なクルマ」による事故だが、事故の原因は人為的なものというわけだ。こうした人為的な原因による事故を防ぐための仕組みの重要性を改めて感じさせる。
日本でも今年4月に「自動運転レベル3」(条件付き運転自動化)が解禁されたが、レベル3では自動運転システムが稼働中も、常に運転手がシステムと運転を交代できる態勢でなければならない。そのため、運転手監視システムの開発に取り組む企業も増えている。
いつでもどこでもどんな状況でも自動運転が可能な「自動運転レベル5」が実現すれば話は変わってくるが、当面の自動運転技術においては、AIの制御とともに人を監視するシステムも重要なのだ。
【参考】関連記事としては「Uberの自動運転死亡事故、やはり係員のスマホ動画視聴が原因」も参照。