自動車部品メーカー大手の独ボッシュがコンソーシアムリーダーを務める「MEC-View研究プロジェクト」では、安全で効率的な自動運転を実現するためのセンサーの研究が進められており、2020年8月9日までにその研究成果の一部が公表された。
街灯にセンサーを組み込むことで、地上を走行する車からは見えにくい歩行者などをいち早く検知しようという研究について発表され、この仕組みを活用することで自動運転の安全性を高めることができるという。
■地上を走る車からは見えにくいものを…
MEC-View研究プロジェクトには、メルセデス・ベンツやノキアのほか、ドイツのデュースブルク・エッセン大学やウルム大学なども参画しており、過去3年間にわたってドイツのウルム市で、街灯に組み込んだセンサーに関する実証実験などに取り組んできた。
高い位置にある街灯からは鳥のような高い視点から道路や交差点を見渡すことができる。その街灯にセンサーを設置することで、地上を走る車からは見えにくい歩行者やほかのクルマの存在を検知でき、こうした情報を自動運転車と共有することで安全性を高めるという考え方だ。
ボッシュでMEC-Viewプロジェクトを率いるRüdiger Walter Henn氏は「車両には曲がり角や壁の向こうを見通す能力はないため、街灯にセンサーを組み込むことで車載センサーの視野を拡大することにした」とコメントしている。
すでに車両とこのセンサーの間でデータ通信を行う実証実験が行われており、車両側がいち早く歩行者などを認識し、より適切な自動走行が可能になったという。ウルム市ではこうしたセンサーを使った実証実験が引き続き行われるという。
■安全性を高めるためのアイデアの1つ
いまさまざまな企業やプロジェクト組織が自動運転の安全性を高めるための手法を考え、実証実験に乗り出している。街灯にセンサーを設置するという今回の方法も、新たな手法の1つであると言える。
MEC-View研究プロジェクトに関する詳しい研究内容は「公式サイト」(英語表示可)からも確認できる。
【参考】関連記事としては「ボッシュの新概念「PACE」、自動運転のほか「パーソナライズ」も」も参照。