地図情報大手の株式会社ゼンリンと楽天株式会社などは2020年2月26日、「ドローン物流の社会実装を目指した自律飛行実証実験」として、岩手県下閉伊郡岩泉町の「道の駅いわいずみ」をスタート地点としたドローン自律飛行を報道機関向けに公開する。
この実証実験は、日常の買い物が困難な「買い物弱者」や物流生産性向上などの課題解決に向け、岩手県が公募した「いわてドローン物流実証実験委託業務」に基づいて実施するものだ。今回のメディア公開では、ゴール地点でドローンが飛んでくる光景や、実際に住民への配送物を届ける様子を見ることができるという。
実証ルートは、メディア公開の説明が行われる道の駅いわいずみがスタート地点、田園(岩手県下閉伊郡岩泉町袰野府金)がゴール地点として予定されている。
岩手県で初となるこの実証実験は、首相官邸が公開している「空の産業革命に向けたロードマップ」における「レベル3」での飛行を行う予定だ。
■ロードマップによるレベル分けは?
「空の産業革命に向けたロードマップ」における「レベル3」とは、山、海水域、河川、森林などの無人地帯における補助者なしでの目視外飛行のことを指す。
なお、「目視外飛行」についてだが、以前まではドローンのような無人航空機の飛行状況などは常に監視できる補助者を配置することが求められていた。だが、山間部での物流配送などの課題解決のため、補助者の有無についての運用体制が2018年9月に緩和されている。
首相官邸が2019年6月に発表した「空の産業革命に向けたロードマップ2019」による、「空飛ぶクルマ」や「ドローン」などの小型無線機に関わるレベルの説明はこうだ。
「レベル1」は目視内での操縦、「レベル2」は目視内での自動・自律飛行、「レベル3」では山、海水域、河川、森林などの無人地帯における補助者なしでの目視外飛行となる。「レベル3」は離島や山間部への荷物配送、被災状況の調査などに活用する方針だ。
このロードマップで掲げている、2022年度以降の「レベル4」は有人地帯での目視外飛行となっており、より高いレベルの第三者上空で都市部の物流や警備などを目的とする。
■「空の革命」物流分野の今後の目標は?
物流分野において、このロードマップにおける2020年から2021年にかけての運用目標は、「離島や山間部などにおける荷物配送ビジネスのサービス拡大」としている。より重量のあるものを運び、多くの機体の同時飛行を目指しているという。
さらに2020年度以降では、「陸上輸送が困難な地域で生活物品や医薬品等を配送」や「都市を含む地域における荷物配送」を幅広い地域や目的で利用していく方針だ。
【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマとは? 仕組みや技術、必要なインフラなど|自動運転ラボ」も参照。