2019年4月1日午前11時40分ごろ、5月から始まる新元号が「令和」と発表された。自動車業界では平成時代に電動化や環境への配慮に関する技術が著しく進化したほか、自動運転技術の開発も本格的に始まった。平成時代を自動運転領域における「シード期」(準備期)と捉えるならば、新時代は「グロース期」(成長期)まで段階が進むだろう。
日本では2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催される。五輪開催に合わせ、トヨタ自動車などは自動運転車の公道走行デモを計画しており、政府も道路交通法の改正で「レベル3」(条件付き運転自動化)の解禁を目指している。令和元年から自動運転関連のニュースが大きく注目されることは間違いない。
そしてその後は、デモから商用化、そしてマネタイズの時代にフェーズが移行していく。
2018年12月にグーグル系の自動運転会社ウェイモが商用化した「無人タクシー」の形態を、令和時代には「トヨタ×ソフトバンク」、「日産×DeNA」、「ZMP×日の丸交通」などのタッグが実現していくとみられる。実証実験を経て商用サービスが開始された後は、車載広告の配信や価格設定などの面で収益化に向けた施策にも次々と取り組んでいくはずだ。
完成車メーカーやサービサーだけではなく、自動運転化を支える技術やソフトウェアを開発するベンチャー企業も大きく成長する時代を迎える。そしてこうしたベンチャー企業やスタートアップ企業に資金を投下しているVC(ベンチャーキャピタル)や投資家などにとっては、投資リターンを得る時期がそろそろと近づいてくるのが令和時代だ。
サービスとしての自動運転モビリティの世界市場は、2030年代初頭には10兆ドル(約1100兆円)規模=売上高ベース=に達するとみられている。仮に2030年だとすれば「令和12年」。令和時代に入ってからわずか十数年で、自動運転領域の市場はとてつもなく伸びる。車載広告やソフト開発の市場を含めれば、さらに規模は拡大する。
そんな令和時代がいよいよ始まる。冒頭で「グロース期」という言葉を使ったが、市場規模の急速な拡大を見越すのであれば、「超グロース期」と言っても過言ではないかもしれない。自動運転ラボとしても自動運転やMaaS領域の業界の発展に資すことができるよう、改めて襟を正して取材や情報発信に努めていきたい。
【参考】関連記事としては「タクシー運賃、自動運転化で10分の1 2030年に1000兆円市場に 米アーク・インベストメントが予想」も参照。