中国EC(電子商取引)業界シェア2位の京東集団(ジンドンしゅうだん)は2018年6月18日、米Google(グーグル)社と戦略的提携を締結し、5億5000万ドル(約600億円)の出資を受けたことを発表した。EC分野で提携して中国最大手アリババ集団の打倒を目指すと考えられ、京東集団が進める自動運転トラックの開発や無人配送など自動運転分野での連携も予想される。
京東は大手ECサイト「京東商城(ジンドンしょうじょう:JD.com)」を運営するWebサービス会社。今回の提携により、京東はグーグルが展開するグーグルショッピングに出店し、東南アジアや米国、欧州を含む世界中の幅広い地域を対象とした小売ソリューションの開発をはじめ、さまざまな戦略的取り組みを共同で展開していく。グーグルは京東が新たに発行する約2700万株を取得する。
■400兆円規模の中国EC市場
中国のEC市場規模は年間300兆~400兆円と言われており、トップを走るアリババ集団のECサイト「天猫」がシェア50%、「京東」が同25%ほどで追い上げている状況だ。
グーグルのアジア太平洋地域担当社長を務めるカリム・テマサマニ氏は、アジア太平洋地域が世界で最も大きく成長しているEC市場の一つとし、「東南アジアを含む世界中のさまざまな国々で、有用でパーソナライズされた高品質のサービスを提供する消費者体験をどのように提供するのかを加速したい」(GOOGLE IN ASIAより引用)と述べている。
■自動運転分野の連携にも注目
また、自動運転分野における連携にも注目が集まる。
京東は自社のECサイトの配送業務を効率化するため、ドローン配送や自動運転トラックの開発なども進めており、2017年には中国の自動車メーカー上汽大通(シャンハイきしゃこうぎょう)と共同開発した新エネ自動運転小型トラックを、2018年6月には自動運転大型トラックをそれぞれ発表している。過疎地域ではドローン、都市部では無人の貨物車を稼働させ、24時間配送の実現に取り組んでいるという。
一方、グーグルは傘下の自動運転開発企業ウェイモを通じて人工知能(AI)などソフトウェア分野を主力に開発を進めており、将来的には自社が展開するさまざまなサービスと自動車メーカーや各種事業者を結び付け、多角的な連携のもと新たなサービスを生み出していくことが予想される。
今回の提携も、自動運転分野での連携や無人配送の支援も視野に入れている可能性は高いものと思われる。