立体認識技術者、創業2年で6億円調達 自動運転向けステレオカメラ開発

ITD lab創業者の実吉敬二氏



ステレオカメラのイメージ=出典:ITD lab社プレスリリース

高性能なステレオカメラの開発とライセンス販売を手がけるITD lab株式会社 (本社:神奈川県横浜市/代表取締役:実吉敬二、小倉明宏)は2018年6月15日、第三者割当増資により総額4億8000万円の資金調達を実施したと発表した。2017年4月に実施した第三者割当増資を合わせると総額5億8000万円を資金調達したことになり、技術者が創業した会社が資金調達に成功したケースとして脚光を集めている。

ITD Labは、スバル・アイサイトで使用されているステレオカメラの発明者である元東工大准教授の実吉敬二氏が2016年5月に立ち上げた創業2年の新興企業。主力であるステレオカメラは、2つのイメージセンサーから得られる視差を使って物体までの距離を計算するシステムで、基本アルゴリズムは実吉氏が発明したアイサイトと同様のSAD (Sum of Absolute Difference)方式で、現在商品化されているステレオカメラの多くが採用しているSGM (Semi Global Matching)方式とは異なる。


SAD方式はSGM方式に比べアルゴリズムを簡素化でき、必要とされるコンピュータパワーを少なく、システムのコストや大きさ、消費電力を大幅に抑えることができる。また、視差画像の中で物体の輪郭がハッキリと表現されるため、高価なLiDAR(ライダー)を使うことなく衝突防止や自動運転のシステムを組むことが可能という。

■高速リアルタイム自動調整機能を搭載

さらに、アイサイトでも実現していない高速リアルタイム自動調整が搭載されており、温度変化や衝撃などによってステレオカメラの組立て精度が変動した場合でも、システムが全て自動調整・自動補正をおこなう。

今回の第三者割当増資能力引受先は、ニッセイ・キャピタル株式会社と三井住友海上キャピタル株式会社、ミナトホールディングス株式会社、ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社の4社。調達した資金は、研究開発を担う優秀な人材の確保や研究環境の整備、外部開発会社を巻き込んだ大規模開発の推進費用などに充当するとしており、自動運転レベル4(高度運転自動化)~自動運転レベル5(完全運転自動化)のシステム構築を視野にさらなる開発を目指す構えだ。

【参考】詳しい内容はITD lab株式会社の「プレスリリース」も参照。



関連記事