神奈川県北部に位置する愛川町(人口:3万9788人)の町長選が2018年6月12日に告示された。この選挙で立候補を届け出た無所属新人で同町出身の小島淳氏(37)は、当選後は費用面でのハードルがクリアされれば自動運転バスの導入を国に名乗り出ることを掲げ、高齢者の移動手段の確保などを訴えている。
子育て支援に尽力してきた4年間の実績をアピールする現職の小野沢豊氏(65)との対決となるが、自動運転バス戦略でどれくらい票を伸ばせるのか、注目を集めている。
■「自動運転バス導入」を町長選で掲げた理由
愛川町の人口は1995年の約43,000人をピークに減少傾向にあり、高齢化も進行している。都心部からは約50キロ、横浜からは約30キロの場所に位置しており、町の西部には山並みが連なる自然豊かな町だ。
小島淳氏は自身が運営する公式サイトの選挙公約などで、自動運転技術を使った移動サービスを2020年までに全国100カ地域で展開するという日本政府の目標に触れ、「費用負担の在り方が新聞には記載されておりませんでしたが、その費用によっては愛川町として国に対して名乗りを上げたいと考えています」と主張している。自動運転技術を活用し、愛川町内の子供や高齢者が自由に移動しやすい環境を整えるという。
【参考】小島淳の公約の詳しい内容については「小島淳オフィシャルサイト」を参照。
■地方の交通網減少を自動運転バスで解決する
地方の路線バスの多くは赤字続きといわれる。
人口が流出する地方において、バスの乗客が減ることでバス会社の経営が圧迫され、総コストの60〜70%を占めると言われる人件費も重荷となっている。路線を減らしたり、運行する本数を減らしたりした場合、利便性が低下してさらに利用者が減少する悪循環になることもある。
このような現状に自動運転バスの導入が解決策になるという考えがある。交通量が少ない地方で走行する路線バスは、走行ルートが決まっているので自動運転に向いているとも考えられる。導入費用の問題が解決されれば、地方自治体と協力して路線バスを自動運転技術を活用して存続できる可能性もある。
地方での自動運転バスの導入を施策に掲げる地方自治体はにわかに増えてきている。今後の各地方の取り組みに一層注目が高まっていきそうだ。