自動運転車両向けの物体認識AIソフトウェアを開発する韓国のStradVision(ストラドビジョン)が、LiDARの代替技術として「疑似LiDAR」を開発していることが、2021年10月22日までに明らかになった。
■「疑似LiDAR」の仕組みは?
LiDARは自動運転において距離測定や物体認識に用いられるが、高額であることが課題とされている。
そこでStradVisionは、安価な単眼カメラの画像から物体までの距離を計測する「疑似LiDAR」を開発し、量産を目指しているという。疑似LiDARの量産に成功すれば、既存のLiDARよりも安価に同等の機能を得ることができる。
疑似LiDARの仕組みは次の通りだ。「深度推定技術」を活用して、まず2次元画像をディープラーニングで分析する。その後、車両周辺のオブジェクトの距離や深度などの情報を3次元データに変換して、仮想の点集合と深度マップの形で表現する。そうすれば、LiDARで検知する情報と同じようなデータを得ることができる。
高価なLiDARの代わりに安価な疑似LiDARが供給されるようになれば、自動運転車の開発企業の負担もかなり軽減されることになりそうだ。
【参考】関連記事としては「LiDARセンサーとは?自動運転で活躍、開発企業が増加」も参照。
■HUD向けの前方カメラ認識技術も発表
StradVisionは、この疑似LiDARを2021年10月19〜22日開催の国際展示会「CEATEC 2021 ONLINE」で発表した。また同社は疑似LiDARだけでなく、自動車用の「ヘッドアップディスプレイ」(HUD)向けの前方カメラ認識技術も発表している。
StradVisionによると、HUD市場は2030年末までに約79億ドル(約9,000億円)に達すると予測されており、CAGR(年平均成長率)23.1%で拡大するという。
■疑似LiDARが高い評価を受けるか注目
StradVisionの疑似LiDARが高く評価されれば、多くの自動車メーカーのサプライチェーン上に、StradVisionのソリューションが乗り込むことになるかもしれない。今後もStradVisionの動向に注目だ。
▼StradVision公式サイト(日本語)
https://stradvision.com/ja/home-ja/
【参考】関連記事としては「物体認識AIに強み!韓国StradVisionが「360度全方位型」も掲げるロードマップとは?」も参照。