新型コロナウイルスの感染拡大は、ソフトバンクグループ(ソフトバンクG)の業績にも深刻な影響を及ぼしている。「投資会社」を標榜する同社にとっては今回の世界同時株安は痛い。資金調達難で経営破産する出資先も出てきている。
こんなソフトバンクGのピンチを救うのは、同社が出資する自動運転スタートアップ米Nuroかもしれない。このほど「セーフティードライバーなしの無人運転」の試験走行がカリフォルニア当局から認められ、注目を集めている。認可を受けたのはグーグル系Waymoに続いて2社目だ。
■Nuroってどんな企業なの?
Nuroはグーグルの元エンジニア2人が2016年に設立した自動運転スタートアップで、配送用の自動運転車両「R1」の開発を進めている。
2018年8月には米スーパーマーケット大手のクローガーと協力し、自動運転車両を活用した配達サービス実証を開始するとして注目を集めた。2019年6月にはピザ宅配大手のドミノ・ピザと提携し、自動運転車両を使った無人宅配事業をスタートしている。
そんなNuroに対し、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)はこれまでに少なくとも9億4000万ドル(約1030億円)を出資している。今回のカリフォルニア州からの認可を受けてNuroがさらに取り組みを加速させ、将来的に上場するようなことになればソフトバンクGの業績に大きく貢献する。
新型コロナウイルスの感染拡大は多くの業界にとってダメージを与えているが、自動運転領域には「追い風」と言える側面もある。自動運転車や自律走行ロボットは、人と人との感染を防止するために有効だからだ。そうした意味でも、Nuroの今後の飛躍は十分に期待できる。
■孫氏にとっては久々の良いニュースに?
ソフトバンクグループは投資会社であり、投資先企業の成長がソフトバンクグループの業績の鍵を握る。今回のNuroに対するカリフォルニア州の認可については、厳しい局面が続いている孫正義氏にとっては久々の良いニュースであったはずだ。Nuroの今後の動向にますます注目していきたい。
【参考】関連記事としては「ビジョンファンドの交通・物流銘柄、取得時から14億ドル目減り ソフトバンクG決算発表で明らかに」も参照。