香川県の三豊市(市長:山下昭史)と琴平町(町長:片岡英樹)、そしてMONET Technologies株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長:宮川潤一)=モネ・テクノロジーズ=の3者が、次世代モビリティサービスに関する連携協定を締結したことを、2019年8月31日までに発表した。
MONET Technologies社はソフトバンク株式会社(本社:東京都港区/代表取締役会長兼社長:孫正義)とトヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市/代表取締役社長:豊田章男)の共同出資で2018年9月に設立された企業だ。自動運転技術の導入を見据えたオンデマンドモビリティサービスなど、主にMaas事業に取り組んでいる。
今回のように自治体と連携協定を結ぶ動きに関する発表は初めてではなく、MONET Technologies社は設立以来、怒涛の勢いで全国の自治体と連携を加速させている。今回の連携を含む過去の事例を紹介していく。
記事の目次
■香川県三豊市・琴平町との取り組み
今回発表された連携協定は、地域活性化のためにIoTやAI(人工知能)などの先端技術を活用した次世代運行サービスによって地域課題を解決し、誰もが安心して快適に生活できるまちづくりを推進することが目的とされている。連携事項の4つは以下の通りだ。
- 先端技術を活用し、観光や生活の置ける2次交通の充実を狙いとした次世代モビリティサービスの実装に向けた検討に関すること
- 自動運転社会を見据えた新たなサービス施策の検討に関すること
- 3者が協議し合意したこと
- 前各項にかかわる情報発信に関すること
3者は2019年9月28日より須田港と高松空港館を走るシャトルバス「うどん県空港バス三豊・琴平線」を運行する。MONET Technologies社の技術を活用し、利用者がスマートフォンやパソコンで車両の位置情報やダイヤなどを確認できるようにするという。
シャトルバスは観光地や市役所、商業施設などを経由するルートを走行する形。将来的には病院などの乗降地点を追加し、MONET Technologies社のプラットフォームを活用したオンデマンドバスの運行も見込んでいる。観光客はもちろん、住民が日常生活の中でも便利に使える交通手段となるサービスの実現を目指す。
■千葉県千葉市との取り組み
ソフトバンク社とMONET Technologies社は2019年8月22日、千葉市(市長:熊谷俊人)と同市をフィールドとする近未来技術の実装に向けた包括連携協定を締結した。2016年に国家戦略特区の指定を受けた千葉市をフィールドとして、近未来技術の実装を推進し、3者の資源や技術を活かして社会課題の解決や地域活性化、市民生活の向上を図る。
【参考】関連記事としては「幕張新都心で自動運転バス導入へ!千葉市、ソフトバンクとMONET Technologiesと連携協定」も参照。
■北海道安平町との取り組み
北海道安平町(町長:及川秀一郎)とMONET Technologies社は2019年8月5日から、スマホアプリで安平町デマンドバスの予約ができる「MONETバス予約」サービスを開始した。MONET Technologies社の配車プラットフォームの実用化は北海道では初めてのこととしてスタートした。
安平町デマンドバスは予約制の乗合バスで、従来は電話で乗降場所や日時を指定する形だったが、MONET Technologies社の配車プラットフォームの活用により、24時間いつでも予約が可能となった。
【参考】関連記事としては「MONET Technologies、北海道安平町のバスに配車プラットフォーム提供 将来の自動運転化見据え」も参照。
■石川県加賀市との取り組み
MONET Technologies社は2019年7月12日、石川県加賀市と自動運転社会に向けた次世代モビリティサービスに関する連携協定を締結した。
2019年度中に加賀市内を運行する事前予約制乗り合いタクシー「のりあい号」の車両に、走行データを収集できる通信機器を設置するという内容。さらに2023年の加賀温泉駅開業予定地と市内観光地を結ぶオンデマンドモビリティサービスの実証実験も2020年度から開始する方向だ。
そのほか、モビリティと小売りや医療などを組み合わせたサービスやモビリティサービスのキャッシュレス化についても検討予定だという。
【参考】関連記事としては「MONET Technologies、石川県加賀市と自動運転社会に向けて連携協定を締結」も参照。
■長野県伊那市との取り組み
長野県伊那市(市長:白鳥孝)とMONET Technologies社は2019年5月14日、自動運転社会に向けた次世代モビリティサービスに関する業務連携協定を締結した。
長野県で3番目に広い面積を持つ伊那市は医師少数区域で、高齢化の進む中山間地域での医療体制の整備が大きな課題となっている。伊那市とMONET Technologies社はMaas事業の第1弾の取り組みとして、医師の診察を遠隔で受けられる移動診察車の実証実験を2019年度中に連携して実施する予定。
具体的には、看護師が車で患者の自宅を訪問し、車両内のビデオ通話で医師が遠隔から患者を診察するという取り組みだ。看護師は医師の指示のもと、検査や処置を行う。移動診察車はMONET Technologies社の配車プラットフォームを使うことで、効率のいいルートで訪問することが可能だという。
【参考】関連記事としては「MONET、長野県伊那市と業務連携協定 テーマはMaaSや自動運転 トヨタとソフトバンクの共同出資会社」も参照。
■広島県福山市との取り組み
広島県福山市(市長:枝広直幹)とMONET Technologies社は2019年3月20日、次世代運行サービスの関する業務連携協定を締結した。2019年3月25日から5月31日まで福山市服部学区を対象に「服部学区 乗合タクシー」を運行する実証実験を行い、効率的な運行方法や利便性を検証したようだ。
【参考】関連記事としては「ソフトバンク・トヨタ共同出資のMONET、広島県福山市と連携協定」も参照。
■神奈川県横浜市との取り組み
MONET Technologies社の配車プラットフォームを活用したオンデマンドバスの実証実験が、2019年3月19日から26日まで神奈川県横浜市で実施された。横浜市旭区若葉台エリアの住民がモニターとして参加し、スマホアプリから予約してエリア内を巡回するオンデマンドバスを体験してもらい、今後の運用方法や利便性を検証した。
【参考】関連記事としては「MONET Technologies、横浜でオンデマンドバスの実証実験」も参照。
■愛知県豊田市との取り組み
愛知県豊田市(市長:太田稔彦)とMONET Technologies社は2019年2月27日から、MONET Technologies社のプラットフォームを活用したオンデマンドバス「おばら桜バス」を運行する実証実験を開始した。豊田市小原地区の一部の住民に参加してもらい、運用方法や利便性を検証した。
「おばら桜バス」は2009年4月から運行しているが、従来は電話のみの予約受付だった。MONET Technologies社のプラットフォーム導入により、スマホアプリで手軽な予約が可能となった。
【参考】関連記事としては「MONET Technologies、豊田市と業務連携協定 トヨタとソフトバンクの共同出資会社」も参照。
■【まとめ】わずか1年で自治体と連携次々
2018年9月に設立したMONET Technologies社は、わずか1年で全国の自治体と連携協定を次々と結んでいる。各自治体の実態に合わせて取り組み内容も異なり、事例が増えればますますさまざまな自治体の課題に柔軟に対応していけるようになりそうだ。
【参考】関連記事としては「【最新版】MONET Technologies(モネテクノロジーズ)とは? トヨタとソフトバンク出資、自動運転やMaaS事業」も参照。