三菱重工業は2021年9月23日までに、同社を含むグループ3社とスペイン企業のApplus+ IDIADA社が、高度自動運転車両の試験・検証システムを共同開発することに合意したと発表した。
グループ3社は三菱重工業のほか、三菱重工冷熱と三菱重工機械システム。Applus+ IDIADA社は欧州の自動車メーカーの開発・試験・認証に携わっている多国籍企業だ。
■雨・雪・霧などの自然環境を自由に作成
自動運転システムの開発が世界的に進む中、システムの環境試験のニーズが高まっている。そこで三菱重工グループ3社とApplus+ IDIADA社は、雨や雪、霧などのさまざまな自然環境を自由に生成できる屋内型の環境試験装置を共同開発する。
このほか、仮想環境下で網羅的な検証が可能なシステムも共同開発し、自動車メーカーやセンサーメーカーによる自動運転システムの開発期間の短縮や、開発コストの軽減に貢献していく考えだという。
プレスリリースでは、今回の共同開発にあたり、三菱重工グループの各社の技術を結集することも強調されている。
具体的には、三菱重工のレーダ波反射・散乱制御技術、三菱重工冷熱の空調・冷凍機の環境試験技術、三菱重工機械システムが有する自動車用試験装置に関する技術などを活用するという。
■共同開発の行方に注目
Applus+ IDIADAという企業は日本ではあまり知られていないかもしれないが、24カ国以上にネットワークを持ち、自動車開発専門エンジニアを2,500人以上抱えている大手エンジニアリング企業だ。
本部があるスペインのバルセロナ近郊では、360ヘクタールに及ぶ技術センターや試験場、研究所などを有している。東京ドームの広さが4.6ヘクタールなので、360ヘクタールと言えば東京ドーム78個分の広さだ。
▼Applus+ IDIADA公式サイト
https://www.applusidiada.com/global/en/
三菱重工グループは今回のプロジェクトを「CASE化を支えるインフラ」をテーマとした取り組みに1つとして位置付けており、自動運転システムの社会実装に貢献していきたい考えだという。共同開発の行方に注目だ。
【参考】CASEは「Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Sharing/Service(シェアリング/サービス)、Electric(電動化)」の略だ。関連記事としては「CASEとは? 何の略? 意味は? コネクテッド、自動運転、シェア&サービス、電動化」も参照。