日本国内でも盛んに取り組まれつつあるMaaS。近隣のアジア各地でも同様の取り組みは広がっている。とくに台湾・高雄市やシンガポールはMaaS導入に積極的な印象だ。
今回は経済産業省が発表している資料から、台湾・高雄市、シンガポールの事例を紐解いてみよう。
▼モビリティクラウドを活用したシームレスな移動サービスの動向・効果等に関する調査研究
https://www.mlit.go.jp/pri/kikanshi/pdf/2020/76_2.pdf
■台湾・高雄市の事例
台湾・高雄市では、同市の交通局によるMaaSアプリ「Men-GO」が2018年10月から提供されている。このアプリを使うことで、市内の複数の交通機関を利用する際の経路検索と定額料金での利用が可能になる。
「Men-GO」は交通機関乗車時に使用するICカード「iPASS」と連携しており、乗車は「iPASS」、決済は「Men-GO」で行える。「Men-Go」と「iPASS」との連携は、台湾市民が所持しているIDナンバーに基づいて行われている。
「Men-GO」のダウンロードは2019年11月の時点で約2万人、そのうちアクティブユーザーは7000人ほどといわれている。この数は、高雄市の1日あたりの公共交通利用者全体の約3%と推定されるという。
また「Men-GO」は利用者の交通費削減や交通事業者の収益拡大ももたらしているという。
■シンガポールの事例
シンガポールにおけるMaaSの事例としては、2018年2月に設立された民間企業Mobility Xによる「Zipster」アプリが挙げられる。同アプリは「EZ Link」という交通系ICカードと連携している。
Zipsterでは目的地を入力することで、公共交通や自家用車、さらにはシェアサイクルなど複数の交通手段を考慮して移動可能なルートが出力される。「Zipster」利用者は、推奨ルートのコストを確認したうえで移動手段を選択し、アプリを通じてサービス料金を支払える。
2020年には「Zipsterクレジットカード」を発行し、新たな支払い方法も計画しているという。
■増える「各国発」の取り組み
日本でも民間企業同士の連携や官民で取り組みが進むMaaS。台湾やシンガポールに代表されるように、アジア各地でもMaaSの動きは拡大している。MaaSといえばフィンランド発の「Whim」が有名だが、既に各国発の取り組みも多いのだ。
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【参考】関連記事としては「MaaS(マース)の基礎知識と完成像を徹底解説&まとめ」も参照。