新型コロナウイルスの感染者数は日本全国で1万人を超え、終息の見通しが立っていない。そんな中、将来日本でも普及するであろう「MaaSサービス」を構成する各交通機関は、新型コロナウイルスにどう対応しているのだろうか?
最近新たな移動サービスとして注目されている取り組みを中心に、調べてみた。
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■「少人数制」の通勤専用シャトルサービスが登場
タクシーの相乗りアプリ「nearMe.」(ニアミー)を提供する株式会社NearMeは、「少人数制」が特徴の通勤専用シャトルサービスを構築し、2020年4月16日から利用を希望する企業・団体の募集を開始したと発表した。
47都道府県に緊急事態宣言が発令され、外出の自粛が求められているが、どうしても出社・出勤せざるを得ない人がいる会社や団体などがある。NearMeはそうした会社や団体向けに活用をしてもらいたい考えだとみられる。
【参考】関連記事としては「AI配車の相乗りシャトルサービス、都内で試験運行 NearMeがシステム開発」も参照。
■不特定多数が利用する「カーシェア」や「レンタカー」は?
カーシェアを展開するタイムズカーシェアは、除菌機能付き消臭剤と除菌スプレーの搭載を順次進めている。同時に、定期巡回時には手を触れる部分を中心に清掃や消毒作業を強化していくという。利用者にも窓を開けて換気し、利用者自身の手洗いやゴミの持ち帰り、除菌スプレーの使用などの徹底を呼びかけている。
カーシェアは多くの人で1台の車両をシェアするという「シェアリングエコノミー」の代表格的なサービスだが、不特定多数の人が利用するだけに、こうした感染症問題が発生したときは特段の配慮が必要となる。
レンタカーはどうか。業界大手のトヨタレンタカーでは、レンタカーの利用ごとに室内や運転席周りの手が触れる部分を中心に、拭き掃除や消毒作業を強化している。利用者にはマスクの着用と、一部店舗では検温の協力も要請しているという。
■配車アプリ加盟のタクシー会社、ネット決済など推奨
タクシー配車アプリ「S.RIDE」に加盟しているタクシー会社5社は、乗務員は出社退社時に手洗いやうがい、アルコール消毒を徹底し、体温チェックも実施している。乗務中は窓を開放して換気を行っている。
さらにお釣りを手渡す際の感染を防止するため、現金決済ではなくネット決済やQRコード決済を推奨している。タクシー配車アプリを使ったネット決済はこうしたときに便利だ。タクシーのデジタル化は感染症対策にも役に立つ。
■【まとめ】消毒や清掃の強化と、利用者の協力が必須
人が移動すると多くは人の接触を伴う。人が外出を自粛するのが感染防止に効果的なのはもちろんだが、移動サービスの提供側がどのような配慮を行うかもポイントとなる。
MaaSの概念は、さまざまな移動手段を一つのプラットフォーム上で検索・予約・決済できるようにするというものだ。こうなることで移動の利便性が増すほか、MaaSサービスでは「乗り放題」などのプランも登場すると考えられ、より人々の移動が活発化する。
移動が活発化するだけに、移動サービス各社の感染症対策は将来的にさらにその重要度を増すことになる。
【参考】関連記事としては「MaaS(マース)の基礎知識と完成像を徹底解説&まとめ」も参照。